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痩せ形の人でも糖尿病に 知っておきたいその原因と治療法

狩生聖子・フリーランスライター
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 糖尿病は肥満の人に多いという印象を持っていませんか? しかし、必ずしもそうではありません。ではなぜ、標準体重や痩せている人も「生活習慣病」と呼ばれる2型糖尿病になるのでしょうか。朝日生命成人病研究所付属医院糖尿病内科治験部長の大西由希子医師に聞きました。

肥満でない糖尿病患者は珍しくない

 肥満ではなく、どちらかというと痩せ気味。食べ過ぎているわけでもないのに、健康診断で「2型糖尿病の疑い」を指摘されて驚いた――。このような話を聞くことがあります。

 これについて大西さんは「驚くほど珍しくはありません」と話します。

 糖尿病は、膵臓(すいぞう)のβ(ベータ)細胞により産生される「インスリン」というホルモンの分泌力が低かったり、働きが低下したりすることが原因で起こります。

 炭水化物は、体内で分解されてブドウ糖となり、体を動かすためのエネルギー源として血液を通じて細胞に送られます。この時、ブドウ糖を細胞に取り込むために必要なインスリンが十分に働かないことで、血液中のブドウ糖がすみやかに細胞に吸収されなくなるために、血糖値が上昇してしまうのです。

 なお、糖尿病には大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が自己免疫反応などで破壊されることによって、インスリンがほとんど、または全く分泌されなくなることで発症する病気です。

 今回のテーマとなる2型糖尿病は「肥満」「体質(生まれつきインスリンというホルモンの分泌力が低い)」「加齢」が主な原因で、糖尿病全体の90~95%を占めています。

 「確かに肥満は2型糖尿病の発症リスクですが、肥満でないからといって糖尿病と無縁なわけではありません。実際には糖尿病の発症には体質の影響がかなりあるのです。生まれつきインスリンの分泌力が低い体質の人は、肥満でなくても、中年以降、血糖値が上がりやすくなります」

糖尿病患者の多くは標準体重

 実際、肥満ではない2型糖尿病の人は、どのくらいいるのでしょうか。

 一般社団法人糖尿病データマネジメント研究会(JDDM:http://jddm.jp/)は全国46の医療機関、4万6792人の登録患者を対象に肥満の指標であるBMI(ボディー・マス・インデックス)を年に1回、調査しています。2020年の最新統計によれば、2型糖尿病患者さんの平均BMIは24.88でした。

 BMIは【体重(kg)】÷【身長(m)の2乗】で算出し、18.5未満が「低体重(痩せ)」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」です。BMIの平均が24.88ということは、計算上、約半数の人は肥満ではありません。

 「当院でもあらためて調べてみたところ、直近のデータでは、当院通院中の全糖尿病の患者さんの平均BMIは24.5。先のJDDMの調査結果とほぼ同じでした。内訳を見ると、理想体重とされるBMI22から痩せの手前の18.5までの人は全体の4分の1、18.5未満の痩せの患者さんも5%ほどいらっしゃいました」

 ただし、…

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狩生聖子

フリーランスライター

かりゅう・きよこ 1966年神奈川県生まれ。立教大学経済学部卒。OA機器商社に勤務しながら週刊誌での執筆を始め、フリーランスライターとして独立。現在は健康分野(健康、医療、医学部教育など)を中心に書籍の企画・編集、取材、執筆をしている。著書に「ぐっすり眠る!37の方法」 (宝島社新書)など。