実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

サル痘 強い痛みや息苦しさ 性行為なしでも感染 女性も感染

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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各国のサル痘患者数を示す地図。円が大きいほど患者数が多い。青色は以前からサル痘患者が出ていた国、オレンジ色は今回の流行で出た国・地域を意味する=米疾病対策センター(CDC)のウェブサイトから
各国のサル痘患者数を示す地図。円が大きいほど患者数が多い。青色は以前からサル痘患者が出ていた国、オレンジ色は今回の流行で出た国・地域を意味する=米疾病対策センター(CDC)のウェブサイトから

 前回モンキーポックス(サル痘)を紹介したのは6月6日の「欧米で拡大中の『サル痘』 どんな病気か 対策はどうするか」でした。そのときには、今年の春より欧米で流行が始まり世界で500人以上が感染している▽日本では感染者がいない▽新型コロナウイルスのようには簡単に感染しない▽死亡例はなく重症疾患とは呼べない――といった内容を述べました。しかしその後、感染者の急増とともに、新たな知見が得られ、どうやら我々が当初考えていたよりも深刻であることが分かってきました。また、セクシュアリティーやHIV(エイズウイルス)との関連については世界中で議論を呼んでいます。今回はそれらの点に触れながら、どのような人がどのようなことに気を付けていくべきかについて私見を交えながら紹介していきたいと思います。

WHOと米国が緊急事態を宣言

  感染者数の急激な増加を危機とみなした世界保健機関(WHO)は、7月23日、モンキーポックスに対し「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern)」に相当するとして、いわゆる「緊急事態宣言」を行いました。

 米疾病対策センター(CDC)のまとめによると、8月4日現在、世界88か国ですでに約2万7000人が感染しています。感染者が最も多い国は米国で、約7100人。これに続いて、スペインが約4800人、ドイツ、イギリスが約2800人、フランスが約2200人となっています。当初はアフリカ以外での死亡はないと言われていましたが、WHOのまとめによると8月4日現在、スペインで2人、ブラジル、インド、ペルーで1人ずつ死亡者が出ています。

 特に感染者の多い米国は、8月4日に「公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。

 日本でも7月末に、感染者2人が相次いで確認されました。いずれも男性で、海外で感染したとみられています。8月5日には、米軍横田基地(東京都)に所属する在日米軍関係者の20代男性1人の感染も判明しました。

 現在までのモンキーポックスについての日本の報道をみていると、まだ日本では広がっ…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。