悩みが軽くなるココロの習慣

行動を変えることで内面の変化につなげよう

大野裕・精神科医
  • 文字
  • 印刷
 
 

 前回、気持ちが落ち込むのは、何か大切なものを失ったと考えた時だと書きました。そのような時にはふさぎ込んで、自分の世界に閉じこもりがちになります。これは、体勢を立て直してエネルギー補給をするためには必要な反応なので、このような時には無理に頑張りすぎない方が良いのですが、閉じこもりがちになってしまうとますます落ち込みが強くなるので注意しなくてはなりません。

 なぜなら、良くないことが起きたとしても、自分が考えているほどひどい状態でないこともあるからです。すでに書いてきましたが、私たちは現実をそのまま認識しているわけではありません。とくに、思いがけないことが起きた時には防衛本能が働いて、良くない可能性を考える傾向があります。ですから、現実を確かめないまま、あれこれ良くないことを考えてしまうことになりやすいのです。

 もうひとつの理由は、私たちは本来、楽しいことややりがいのあることをすることで心を元気にしています。楽しい体験をすると、またそれをしたいと思いますし、やりがいを感じると、それを続けたいと思います。意欲はこのように、体験する中から生まれてきます。

 逆に、楽しいことややりがいのあることが少なくなると、次第に心がふさぎ込んできます。閉じこもりがちになって何もしないでいると、自然と良い体験ができな…

この記事は有料記事です。

残り1583文字(全文2137文字)

大野裕

精神科医

おおの・ゆたか 1978年、慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科学教室入室。コーネル大学医学部、ペンシルベニア大学医学部に留学を経て、慶応義塾大学教授を務めた後、独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センターセンター長に就任、現在顧問。認知行動療法研修開発センター理事長。国際的な学術団体 Academy of Cognitive Therapy の設立に関わり、日本認知療法・認知行動療法学会、日本ポジティブサイコロジー医学会の理事長。認知行動療法学習サイト「こころのスキルアップトレーニング」やAIチャットボット「こころコンディショナー」を発案・監修。