医療プレミア特集

角膜に傷がつく!? ハンディー扇風機の使い方にご用心

鈴木敬子・毎日新聞 医療プレミア編集部
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強い日差しの中、飲み物や小型扇風機を手に持って歩く人の姿が多く見られた=大阪市中央区で2022年6月29日午後3時24分、北村隆夫撮影
強い日差しの中、飲み物や小型扇風機を手に持って歩く人の姿が多く見られた=大阪市中央区で2022年6月29日午後3時24分、北村隆夫撮影

 連日の猛暑で、今や夏の定番グッズになったハンディー扇風機。その風を顔に当てると心地がいいが、使い方には注意が必要だ。ハンディータイプに限らず、扇風機やエアコンの風が目に直接当たると、目を守っている涙が蒸発し、角膜(黒目)に傷がつくリスクが高まってしまう。さらに、涙で保護されなくなった目が夏場の強い紫外線を浴び続けると、角膜が炎症を起こし、さまざまな眼疾患の原因になるという。風が目にもたらす影響と、猛暑下での適切なアイケアについて、眼科医で伊藤医院(さいたま市見沼区)副院長の有田玲子さんに聞いた。

目にとって過酷な状況に

 ハンディー扇風機の風が目に当たると、角膜にどんな影響があるのか。有田さんが啓発団体「現代人の角膜ケア研究室」と共同で実施した実験で、風を受けてから1~2秒で涙が蒸発し始め、角膜がむき出しの状態になることが分かった。

 実験に参加したのは、日常的に裸眼で生活し、ドライアイ症状のない30~40代の女性3人。顔から20cmほど離した位置にハンディー扇風機を固定して1分間、風を浴び、実験の前と後で涙液層破壊時間(BUT)を測定した。風を浴びている間、まばたきはいつも通り行った。

 BUTとは、目の表面の涙がどのくらいの時間で乾燥し始めるかを調べ、涙の安定性を測る検査。測定値が5秒未満で不快感などの自覚症状がある場合、ドライアイと診断される。

 この結果、3人とも風を浴びた後では測定値が大きく減少した。実験前は8.5秒だった涙の保持時間が、実験後はわずか1秒になった人もいた。

 また、3人にエアコンの下で30分間スマートフォンを操作してもらい、その前と後でBUTを測定する実験も行った。すると、3人全員の涙の保持時間が半分以下まで減少した。有田さんは次のように話す。

 「目の角膜を唯一守っているのが涙です。風で涙が蒸発してしまうと、角膜が外界と直結して傷つきやすくなります。傷がつくと、…

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鈴木敬子

毎日新聞 医療プレミア編集部

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜支局などを経て、15年5月から医療プレミア編集部。