医療プレミア特集

コロナに感染した医師が今、伝えたいこと

西田佐保子・毎日新聞 医療プレミア編集部
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大塚篤司さん(右)は、「軽症といっても、症状は人それぞれ異なります。オミクロンは風邪ではありません。そのことを理解して、コロナ感染後に苦しんでいる人たちを支えてもらえたら」と語る(C)幡野広志
大塚篤司さん(右)は、「軽症といっても、症状は人それぞれ異なります。オミクロンは風邪ではありません。そのことを理解して、コロナ感染後に苦しんでいる人たちを支えてもらえたら」と語る(C)幡野広志

 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」が猛威をふるい、感染者は過去最多を更新した。そんな「第7波」の影響は医療従事者にも及ぶ。「オミクロン株は軽症と言われていますが、個人差があります」。コロナ発症後、約1カ月たった今も倦怠(けんたい)感に悩まされているという近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司さん(45)が自らの体験を語った。【西田佐保子】

気の緩みは「あった」

 「最初は、仕事を終えた後、普段よりも少し疲れているかな、と感じる程度でした」

 7月初旬のある夜、布団に入ると寒気がした。大塚さんは念のため体温を測ったが平熱だった。「エアコンが利きすぎていたのかもしれない」。翌朝はいつも通り通勤した。倦怠感はあるものの、熱もなく一日を過ごしたが夕方、急激な疲労感に襲われた。

 研究会や講演会などのため、全国を飛び回っていたので疲れがたまっているせいだろうと思い、帰宅。急変したのは夜中だった。のどの痛みで目が覚めた。

 「コロナかもしれない」

 そこで初めて感染を疑った。

 出張の際、打ち合わせでマスクを外してコーヒーを飲んでしゃべった場面は何回かあった。無症状の感染者と話していた可能性もある。毎日、満員電車に乗って通勤していたので移動時の感染も否定できないが、会話の相手が医療従事者だったので「感染対策に気を付けているだろう」という油断はあった。

 「これまで誰かとお茶をする時は飲むときだけマスクをずらしたり、食事を伴った打ち合わせでは(食べるときだけマスクを外す)“マスク会食”をしたりしていました。それが徐々にマスクを外している時間が長くなっていった。気の緩みはあったと思います」

 熟睡できずに迎えた翌朝、関節の節々が痛んだ。勤務先の病院でPCR検査を受けると陽性。幸い、濃厚接触者となった1人のスタッフは検査の結果、陰性だった。

 その日から自宅での療養生活が始まった。

のどの痛みで4日間食事が取れず

 「はじめは本当につらくて、つばが飲み込めないくらいのどが腫れているのが分かりました。水を飲むのも一苦労で、たんが絡むとさらに苦しかった」

 咽頭(いんとう=のど)炎が悪化して、たんが詰まると呼吸が危ない。念のため自らのどを診て、(息が通る)スペースがあることを確認し、窒息の危険がないと判断した。食事はほぼ取れず、水分と、栄養を摂取できるパウチ入りゼリーなどを口にして4日間過ごした。

 一方、コロナのワクチンを3回接種していたのである安心感はあった。「ワクチンは重症化予防効果があるので、肺炎を起こして入院するケースは極めてまれだろうと思って過ごすことができました」

 基礎疾患のない軽症者には“特効薬”はなく、対症療法しかない。解熱剤を朝昼晩1日3回服用した効果か、熱はほとんど出なかった。

 発症から10日後、右の背中に痛みを感じた。右脇腹に触れると丘疹(ブツブツしたもの)があった。確認すると赤い紅斑もあった。帯状疱疹(ほうしん)だ。「10年前にも発症したので、免疫がある程度できていたせいか悪化せず、後遺症となる神経痛も残さずに回復しました」

 実は、皮膚科医として診療を行う大塚さんは、昨年の夏ごろから帯状疱疹で受診する患者が増えたと感じていた。

 「コロナ禍で帯…

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西田佐保子

毎日新聞 医療プレミア編集部

にしだ・さほこ 1974年東京生まれ。 2014年11月、デジタルメディア局に配属。20年12月より現職。興味のあるテーマ:認知症、予防医療、ターミナルケア。