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国家資格・愛玩動物看護師が来春誕生、ペット医療はどう変わる?

川田睦・日本動物病院協会会長=有田浩子撮影
川田睦・日本動物病院協会会長=有田浩子撮影

 来春から、新しい国家資格「愛玩動物看護師」が誕生します。ペットが家族の一員として定着するのに伴い、求められる獣医療も多様化、高度化しており、獣医師と飼い主の間に立つ動物看護師の役割も大きく変わってきています。国家資格化に向けて活動してきた日本動物病院協会の川田睦会長(大阪市)に、愛玩動物看護師に期待することや課題などについて聞きました。【有田浩子】

――国家資格が誕生するまでの経緯を教えてください。

 ◆私は1991年に獣医師になりましたが、その当時の動物看護師は、獣医師が治療するときに動物が動かないように押さえて治療しやすくするなど、お手伝いのような仕事が多かったと思います。仕事内容は地域や病院によっても大きく異なり、専門学校を含めた教育システムもばらばらでした。一方、日本の動物医療に大きな影響を与えてきた米国では、動物看護師は人間の看護師に近い形でチーム獣医療の一翼を担う存在でしたので、日本でもそういう形に発展していくのがいいだろうと考える人が私の周りには多く、動物看護師の水準を高めたい、統一した資格を与えたいという話が出ていました。団体ごとに資格試験や講習会が行われていたのを、我々を含めた五つの団体が、垣根を越えて民間の統一資格認定団体(一般財団法人動物看護師統一認定機構)を作り、2013年から試験を実施しました(現在、同団体による認定者は約3万人)。民間の統一資格が生まれる前から、その先には準国家資格あるいは公的資格につなげたいという思いがありました。

――2011年に日本獣医師会、日本動物看護学会、日本動物看護職協会など10の団体が参加し、公的資格の法整備のほか、獣医師と看護師との役割分担と連携による質の保障や処遇の改善などを国に要望したそうですね。

 ◆あまり政治とはかかわりがなかったのですが、動物関連の仕事を目指すための専門学校や4年制大学なども学生数の増加や卒業生の就職先の確保ということで熱心に動いてくれました。動物看護師の職域の団体(一般社団法人日本動物看護職協会)もでき、議員立法で19年6月に動物病院で獣医師を補助する動物看護師を国家資格とする「愛玩動物看護師法」が成立しました。獣医師の資格は農水省の所管ですが、同時に改正された動物愛護管理法を所管する環境省も加わり、両省の所管する資格になりました。

採血、マイクロチップの挿入など可能に

 ――国家資格になったことで、獣医療の現場は劇的に変わるのでしょうか?

 ◆法律的にいえば、国家資格化によりできるようになることは限られています。採血▽投薬▽マイクロチップの挿入▽カテーテルの設置▽心電図など検査装置の装着――などがやっていいこととして加わりました。民間資格ではできなかったことです。動物看護師からすれば、できることが増えるので大きな変化ですが、やってはいけないことも多くあります。…

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