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コロナにとらわれなくなったフランス人 何が変えたのか

竹内真里・フランス在住ライター
リヨン5区のサンジャン大教会。旧市街は世界文化遺産に登録されている=筆者撮影
リヨン5区のサンジャン大教会。旧市街は世界文化遺産に登録されている=筆者撮影

 この夏、フランスでは、バカンスを楽しむマスクなしの人たちの姿が各地で多くみられた。日本と違って、国内の新型コロナウイルスの新規感染者数は低く抑えられているが、どうやらそれだけではなさそうだ。何がフランス人の心を変化させ、コロナ対応を変えさせたのだろうか。そこから日本人が学べることとは。

水際対策を緩和、マスクは少数派

 喜ばしいことに、フランスでは8月1日から水際対策が大幅に緩和された。これまで入国時に求められていたワクチンパスや、陽性か陰性かなどの事前の検査も不要となったのだ。フランスから外国へ旅行する際、まだ事前検査や接種証明などの提示などを条件にしている国もあるので、行き先の情報を調べる必要はあるが、フランスでの入国は面倒な手続きが不要となり、簡易になった。

 そんなことも関係してか、パリ在住の友人たちの話によれば、「パリジャンはバカンスで留守、観光客でいっぱいの8月のパリ」の光景が戻っているという。リヨンの観光スポットでも外国からの旅行者を多く見かけた。レストランや土産物屋などが建ち並ぶ小道を練り歩き、観光を楽しんでいる様子がうかがえる。

 マスクはもうほとんどの人がつけていない。3月半ばにまず国が「医療機関や公共交通機関など、特定の場所以外はマスクの着用義務を解除する」と通達し、人々もどうやら四六時中つけていなくても大丈夫そうだ、と日々の状況から判断し、移行していった。

 医療機関ではマスクの着用が求められるが、推奨が続いていた公共の乗り物内で着用する人はほとんど見られなくなった。スーパーマーケットや街中などで、たまにマスク姿の人がいても、「あの人は着用したいからしているのだな」という雰囲気で、対立や責め合いなどは見られない。周囲の人たちが、マスク姿の人を避けたり、距離をとったりする様子も特にない。

 マスクなしの生活がメジャーとなり、観光客が戻り、バカンスで多くの人たちが国内外を移動しても、騒動の初期に見られたような恐ろしい報道はなくなった。救急科がパンク状態だとか、医療崩壊などのニュースもない。医師も夏休みをとっている。 このように書くと、フランスの病院はベッド数が多いとか、すぐに受診できる仕組みなのだろうなどと思われるかもしれない…

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フランス在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はリヨン市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。