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「がん放置療法」の近藤誠さん死去 なぜ極論に走ったのか

高野聡・毎日新聞 医療プレミア編集部
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多くの読者に支持された近藤誠医師の主な著作=高野聡撮影
多くの読者に支持された近藤誠医師の主な著作=高野聡撮影

 「患者よ、がんと闘うな」などの著作で知られる近藤誠医師が8月13日、亡くなった。月刊誌「文芸春秋」誌上を中心に展開した「がん放置療法」や「がんもどき理論」などの独自理論は多くの読者の支持を集める一方で、がん治療の専門家からは「部分的には認められても、極端すぎる」などの批判が寄せられた。日本のがん医療に一石を投じたと言われる近藤理論を巡る論争を振り返る。

近藤理論を構成する柱と、医師からの反論

 近藤医師が著作で繰り返し訴えた主張とは、主に次のようなものだ。

・<がんもどき理論>がんには、本物のがんとがんもどきがある。本物のがんは見つかった時点で既に転移しており、治療しても治らない。一方のがんもどきは治療しなくても生命を奪わない。

・<がん放置療法>がんと診断されたら治療せず放置するのが一番。また、がん検診で見つかるがんはがんもどきなので、早期発見する意味はない。

・<抗がん剤は効かない>抗がん剤にはがんを治す力はなく、元々が毒なので、むしろ副作用のために寿命は縮む。抗がん剤の有効性を示す臨床試験結果は人為的操作で捏造(ねつぞう)されている。がん専門医や製薬会社、厚生労働省など関係者が構築する「がん治療ワールド」はその事実を隠蔽(いんぺい)している。

 一連の主張は1995年1月から「文芸春秋」に連載した「あなたがガンになったとき」から始まった。以降、2004年まで断続的に「文芸春秋」誌上に寄稿しつつ、書籍を刊行。その後断筆の時期をはさみ、10年に活動を再開すると、亡くなる直前まで精力的に書き続けた。

 「がんもどき理論」「がん放置療法」「抗がん剤は効かない」。刺激的なキーワードはいずれも、近藤理論を象徴する言葉としてそれぞれが密接につながっている。だがいずれの概…

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高野聡

毎日新聞 医療プレミア編集部

1989年入社、メディア情報部、船橋支局、千葉支局などを経て96年、東京本社科学環境部。埼玉医科大の性別適合手術、茨城県東海村臨界事故など科学環境分野のニュースを取材。2009年より大阪本社科学環境部で新型インフルエンザパンデミックなど取材。10年10月より医学誌MMJ(毎日メディカルジャーナル)編集長、東京本社医療福祉部編集委員、福井支局長などを歴任。