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医療の「分断」はコロナ禍で広がったか SNSで発信する医師たちが議論

鈴木敬子・毎日新聞 医療プレミア編集部
イベントの収録時の様子。左から大塚篤司さん、山本健人さん、市原真さん、堀向健太さん、浅生鴨さん=SNS医療のカタチ提供
イベントの収録時の様子。左から大塚篤司さん、山本健人さん、市原真さん、堀向健太さん、浅生鴨さん=SNS医療のカタチ提供

 「先生の言っていることが分からない」「患者さんにうまく伝わらない」――。医療の現場では、患者と医療者の間にこうした「コミュニケーションエラー」や治療法などをめぐるさまざまな「分断」が生じがちだ。それらをやさしく埋めていこうと、ツイッターやインスタグラムなどSNSを中心に、科学的根拠(エビデンス)のある医療情報の発信に取り組んできた医師たちが4日、オンラインイベントを開いた。「新型コロナウイルス禍で分断が拡大しているのでは」との指摘も出る中、医師4人がリレー講演し、活動の原点となった思いを語った。11日にはイベントの後半があり、ゲストを交えてさらに議論を深める。【鈴木敬子】

「SNS医療のカタチ」とは

 イベントを開いたのは、医療プレミアで「ほむほむ先生のアレルギー入門」を連載中の堀向健太さん(ツイッターアカウント名=ほむほむ@アレルギー専門医)たちが所属する「SNS医療のカタチ」。一般の人たちに医療情報をやさしく(優しく、易しく)伝えることを目的に、2018年12月から活動を始めた。これまでブログやツイッターでの情報発信に加え、市民公開講座を開催したり、さまざまなゲストを招いた講演をユーチューブで配信したりしてきた。

 堀向さんのほか、市原真さん(ツイッターアカウント名=病理医ヤンデル)、山本健人さん(同=外科医けいゆう)、大塚篤司さん(同=大塚篤司【医師’医学博士】Atsushi Otsuka)が所属している。

 今回のイベントは当初、京都市内の会場で有観客で開催する予定だったが、新型コロナの第7波の影響を受け、8月に会場で収録し、後日ユーチューブで配信することになった。4日の配信中は出演者と参加者がチャット欄で感想などを共有し、共にライブ感を味わった。

根拠ある情報の種、芽が出始めた――堀向さん

 堀向さんはブログで1300本以上の論文を紹介するなど、さまざまな媒体を通じて出典や根拠に基づく情報の発信に努めてきた。講演でこれまでの活動を「博物館に展示物を置いていくように、根拠のある情報を展示物として置いていく。その一つ一つは芽が出るかどうか分からないような種だ」と振り返った。

 情報発信の際は、医療者にも医療者以外の人にも何かを持ち帰ってもらえるものを書くことを心がけているといい、活動を続ける中で、情報に触れた人が周りの人と共有してくれるようになったという。「エビデンスの話ばかりでは十分に伝わらないこともあり、それをどうすればよいか考え続けてきたが、…

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毎日新聞 医療プレミア編集部

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜支局などを経て、15年5月から医療プレミア編集部。