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新型コロナ 「療養期間7日」でも感染を広げないには

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
新型コロナウイルス感染症対策分科会に臨む(奥右から)山際大志郎経済再生担当相、尾身茂会長、加藤勝信厚生労働相=東京都千代田区で2022年9月16日午前10時半、竹内幹撮影
新型コロナウイルス感染症対策分科会に臨む(奥右から)山際大志郎経済再生担当相、尾身茂会長、加藤勝信厚生労働相=東京都千代田区で2022年9月16日午前10時半、竹内幹撮影

 2022年9月7日から、新型コロナウイルスに感染した際の「療養期間」が、10日間から7日間に短縮されました。世界的に新型コロナを過去の感染症とみなす風潮が広まる中、この短縮措置を歓迎する声がある一方で、「時期尚早ではないか」「感染者を増やすのではないか」という慎重な意見も少なくありません。今回は、この期間短縮でどういった問題が起こっているのかを紹介し、理想の対策について私見を述べたいと思います。

 療養期間の短縮が発表された翌日の9月8日、その数日前に太融寺町谷口医院で新型コロナの診断がついた患者さんから、当院に電話がありました。「自分の療養期間も7日でいいのか」という質問です。たしかに、厚生労働省の発表では「即日実施」とはされていましたが、それは9月7日以前に診断がついたケースにも適用されるのかが分かりません。

 HER-SYS(新型コロナの感染者を国に登録するシステム)の画面を見てみると、表示される療養期間は10日間のままです。そこで、保健所に問い合わせると「まだ決まっておらず、現状では9月6日までに診断のついた患者さんは10日間」と言われました。しかし、その翌日も翌々日も同じような質問が相次いで寄せられました。そこで週明けの12日に保健所に再度問い合わせると「地域によって異なるようだが、大阪市では6日までに診断がついた場合でも療養期間を7日に短縮することに決まった」とのことでした。

夜はせきが出るけど外出はOK?

 9月5日に新型コロナの診断がついたある患者さん(仮にAさんとしましょう)が、12日にオンライン診療を受けられました。「熱は下がったものの、夜間のせきがひどくて夜も眠れない」と言います。Aさんの発症日は9月4日で、療養期間は、この日をゼロ日目として数えます。オンライン診療を受けた9月12日には、すでに7日間の療養期間が終わっています。さて、Aさんは外出してもいいでしょうか。

 症状がある場合の療養期間について、厚労省は、都道府県などへの事務連絡で説明をしています。発症日から7日間が経過したことに加えて「症状軽快後(症状が軽くなってから)24時間経過した場合、8日目から療養の解除が可能」というのです。

 問題は「症状が軽くなってから」をどう解釈するか、です。Aさんの場合、熱はなくなりましたから「症状が軽くなった」のは事実です。ですが、夜間のせきは当分の間、止…

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太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。