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新型コロナ「終わりが視野」 テドロス発言の背景とは

高野聡・毎日新聞 医療プレミア編集部
オミクロン株対応のワクチン接種を受ける女性(左)。年末年始の感染拡大に備え、国は希望者への年内の接種完了を目指している=山口市で9月22日午後、森紗和子撮影
オミクロン株対応のワクチン接種を受ける女性(左)。年末年始の感染拡大に備え、国は希望者への年内の接種完了を目指している=山口市で9月22日午後、森紗和子撮影

 新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)について、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は9月14日(現地時間)の記者会見で、「終わりが視野に入ってきた」と発言した。バイデン米大統領も18日(同)、テレビのインタビューで「パンデミックは終わった」と発言し、いよいよコロナ終息かと世界の注目を集めた。22日の会見でテドロス氏は「終わりに到達したわけではない。ようやく終わりにある光がかすかに見えるようになってきたところ」と述べ、高まる期待とは裏腹に慎重な姿勢をみせたが、人々が期待するコロナ終息という「光」は見えてきたのだろうか。専門家は、テドロス氏の発言の背景に、ある一本の論文があると指摘する。

 「パンデミックを終わらせるのに、これほど優位な状況になったことはない」。14日の会見の冒頭、テドロス氏は直近1週間の新型コロナの死者数が流行初期の2020年3月以来の低水準になったとした上で、こう述べた。終息に向かう光明に思えた「終わりが視野」発言だが、さらに続きがある。

 発言の後半でテドロス氏は、ワクチン接種の推進、感染状況の監視と検査、治療体制の整備と維持のほか、政策を丁寧に説明するコミュニケーションの重要性など6点を必要な対策として挙げた。これらは国内でも既に現時点で実施されている対策だ。

 それにしても、なぜこのタイミングで「終わりが視野」と発言したのか。感染症に詳しい東京医科大の濱田篤郎・特任教授は「伝えたいメッセージは、後半の六つの対策の徹底であって、終わりに近づくための過程の重要性を伝えたかったのではないか」と推測する。そのうえで「終わりが視野」という踏み込んだ前半の発言の背景に、英医学誌「ランセット」の論文が念頭にあった可能性を指摘する。

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毎日新聞 医療プレミア編集部

1989年入社、メディア情報部、船橋支局、千葉支局などを経て96年、東京本社科学環境部。埼玉医科大の性別適合手術、茨城県東海村臨界事故など科学環境分野のニュースを取材。2009年より大阪本社科学環境部で新型インフルエンザパンデミックなど取材。10年10月より医学誌MMJ(毎日メディカルジャーナル)編集長、東京本社医療福祉部編集委員、福井支局長などを歴任。