
医療プレミアで「実践!感染症講義-命を救う5分の知識-」の連載を続けている谷口恭医師(大阪市北区の太融寺町谷口医院院長)が20日、新型コロナウイルス感染症などについて、大阪市北区の毎日文化センターで講演しました。講演はインターネットで全国に同時中継されました。この日のテーマは三つで、一つ目は「新型コロナのワクチンは接種すべきか」。二つ目は「各種の新型コロナ治療薬の評価」。三つ目が「今後の新型コロナ対策」でした。講演の主な内容を紹介します。
谷口医師は総合診療医で「どのような患者のどのような症状にも対応する」ことを原則にしています。もちろん、手に負えない場合もあり、その時は他の病院を紹介しています。新型コロナについては、国内で患者が出始めた2020年1月から「発熱外来」を設けて診療を続けてきました。感染症専門医ではありませんが、それだけに「まだ診断がついていない発熱患者」を診る機会が多いそうです。
まず、ワクチンについてです。
谷口医師は、接種した場合の懸念と利益を両方とも紹介し「ワクチンを接種するリスクと利益を比べ、だれのために接種を受けるか、そしていつ受けるかを判断してほしい」と訴えました。
新型コロナのワクチンは、ウイルスの遺伝子である「mRNA」の一部を使って作られています。これを接種すると、ウイルスの「スパイクたんぱく質」を、人体が自ら作り出します。すると人体は、このたんぱく質を「敵」だと認識し、後で本物の新型コロナウイルスが入ってきた時に攻撃するようになります。これが、現在使われている「mRNAワクチン」の仕組みです。
一方、この仕組みに対して「スパイクたんぱく質が、臓器に悪影響を与える」「接種したmRNAが、長期間人体に残る」などの懸念が指摘されています。
懸念を裏付ける論文を紹介
谷口医師は、この二つの懸念を裏付ける医学論文が最近、国内外で発表されていることを紹介しました(新型コロナ ワクチン接種の最新事情)。
たとえば「ワクチン接種後に死亡した人4人を調べたら、4人とも『サイトカインストーム』と呼ばれる免疫の暴走が起きていた」という論文を、今年8月に…
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