ER Dr.の救急よもやま話 フォロー

新型コロナとインフルエンザ 冬に備えてどのワクチンをいつ受ける

志賀隆・国際医療福祉大医学部救急医学主任教授(同大成田病院救急科部長)
試験点灯でライトアップされた永観堂禅林寺の紅葉。秋が深まり、第8波が予想される冬が近づく=京都市左京区で2022年11月2日午後5時57分、山崎一輝撮影
試験点灯でライトアップされた永観堂禅林寺の紅葉。秋が深まり、第8波が予想される冬が近づく=京都市左京区で2022年11月2日午後5時57分、山崎一輝撮影

 現在は、新型コロナウイルス感染症の感染者数はまだそれほどではなく、行動の制限も緩和されています。本当にありがたい状況です。ただ、このコロナ禍の3年を考えると、冬に第8波が来る可能性は極めて高いと考えられます。それどころか、最近の感染者数の動向をみると「第8波はもう始まっている」という方が正確かもしれません。さらに、感染対策をずっと続けることは難しいのでインフルエンザの流行もあるかもしれません。一方で、新型コロナのオミクロン株対応ワクチンの接種率は、対象人口の10%程度となっています。ということで今回は、どうやってワクチン接種を受けていくのがよいか、について説明します。

2種類ある「オミクロン株対応」ワクチン

 新型コロナのワクチンには現在、もともとの「武漢株」だけに対応したワクチンと、武漢株に加えてオミクロン株のBA.1にも対応した「2価ワクチン」、そして武漢株とオミクロン株のBA.4、BA.5に対応した2価ワクチン、の3種類があります。どのワクチンでも、接種を受けた人の血液中には、新型コロナに対する抗体ができます。ただしその量(抗体価)は、時間とともに低下していくと考えられています…

この記事は有料記事です。

残り2201文字(全文2699文字)

国際医療福祉大医学部救急医学主任教授(同大成田病院救急科部長)

しが・たかし 1975年、埼玉県生まれ。2001年、千葉大学医学部卒業。学生時代より総合診療・救急を志し、米国メイヨー・クリニックでの救急研修を経てハーバード大学マサチューセッツ総合病院で指導医を務めた救急医療のスペシャリスト。東京ベイ・浦安市川医療センター救急科部長などを経て20年6月から国際医療福祉大学医学部救急医学教授、21年4月から主任教授(同大成田病院救急科部長)。安全な救急医療体制の構築、国際競争力を産み出す人材育成、ヘルスリテラシーの向上を重視し、日々活動している。「考えるER」(シービーアール、共著)、「実践 シミュレーション教育」(メディカルサイエンスインターナショナル、監修・共著)、「医師人生は初期研修で決まる!って知ってた?」(メディカルサイエンス)など、救急や医学教育関連の著書・論文多数。