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新型コロナがもたらす新時代 グローバル化は変わるか

濱田篤郎・東京医科大学特任教授
サーモカメラの映像で入国者をチェックする検疫官=関西国際空港で2020年1月21日、幾島健太郎撮影
サーモカメラの映像で入国者をチェックする検疫官=関西国際空港で2020年1月21日、幾島健太郎撮影

 本連載の「多民族時代」という題名の背景には、近年のグローバル化社会の進展があります。地球が一つの社会になり、さまざまな民族が共生する中で新たな健康問題も発生しています。その問題にどのように対処していくかが本連載のテーマでした。こうした健康問題の一つに新型コロナウイルスの流行があるわけですが、具体的にグローバル化は、流行にどれだけ関与したのでしょうか。新型コロナの流行が始まって3年が経過する中で、その関連について考えてみます。

流行は「制御期」に入っている

 2022年9月中旬、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が「新型コロナ流行の終わりが視野に入ってきた」というコメントを出しました。流行の終息が見えない中で、この発言を疑問視する声も数多く聞かれましたが、事務局長の言葉は「新型コロナとの共存が視野に入ってきた」と解釈するのが正しいようです。私も流行は既に「制御期」に入り、ウイルスとの共存が見えてきたと思います。

 新型コロナの流行が始まったのは、およそ3年前の19年12月のことでした。中国の武漢で発生した流行は中国全土に波及し、20年春には世界を巻き込むパンデミックへと進みます。その年の冬からはアルファ株という変異株が拡大し、翌21年はデルタ株、オミクロン株と新しい変異株が立て続けに発生し、世界流行を繰り返しました…

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東京医科大学特任教授

はまだ・あつお 1981年、東京慈恵会医科大学卒業。84~86年に米国Case Western Reserve大学に留学し、熱帯感染症学と渡航医学を修得する。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て、2005年9月~10年3月は労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センター所長代理を務めた。10年7月から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたりながら、国や東京都などの感染症対策事業に携わる。11年8月~16年7月には日本渡航医学会理事長を務めた。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社+α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社+α文庫)、「新疫病流行記」(バジリコ)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。19年3月まで「旅と病の歴史地図」を執筆した。