
2人に1人はがんと診断される時代。インターネットやテレビ、出版など、世の中にはがんの予防や治療に関する情報があふれています。それらの情報は信頼できるのでしょうか。がんの専門医で、医師主導ウェブサイト「Lumedia(ルメディア)」のスーパーバイザーを務める勝俣範之・日本医科大武蔵小杉病院教授ががんに関する誤解や迷信を明らかにし、信頼できるがん情報を発信します。
ネットでがんの原因を調べてみると
がんは、国民病といってよいほど関心が高い病気です。それにもかかわらず、がんにまつわる誤解が非常に多いと思います。第2回目の本稿では、がんの原因、予防について解説します。
がんになると、誰しも
「なぜ私ががんになったのだろう?」
「何が原因だったのだろう?」
「ストレスが原因だったのだろうか?」
「やはりがん家系だったからなのか?」
「検診を受けなかったからなのか?」
などと、あれこれ考え、悩み、後悔すると思います。
ネットでがんの原因を調べると、食生活、運動不足、ストレス、免疫力低下などを原因とする解説がたくさん出てきます。特に食生活に関しては、肉や糖分摂取、遺伝子組み換え食品などがいけない、などと書かれています。
がんは食生活が原因だから「食生活を改善すればがんは治る」といった記事がたくさん出てきますが、前回も紹介したように、がんの「予防」と「治療」はまったく別ものであり、別に考えたほうがよいのです。
実際の患者さんの中には「私は普段から健康的な食事をするように心がけていて、野菜を多く取ってきましたし、白米でなく玄米食を取ってきました。たばこも吸いませんし、運動も週2日は必ずやってきまし…
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日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授
1963年生まれ。88年富山医科薬科大学医学部卒業。92年から国立がんセンター中央病院内科レジデント。2004年1月米ハーバード大生物統計学教室に短期留学。ダナファーバーがん研究所、ECOGデータセンターで研修後、国立がんセンター医長を経て、11年10月から現職。専門は内科腫瘍学、抗がん剤の支持療法、乳がん・婦人科がんの化学療法など。22年、医師主導ウェブメディア「Lumedia(ルメディア)」を設立、スーパーバイザーを務める。