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新型コロナワクチン 愛知県の女性 接種後急死をどうみるか

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
ワクチン接種直後に亡くなった飯岡綾乃さんの遺影を横に記者会見する夫英治さん=愛知県愛西市で2022年11月17日、兵藤公治撮影
ワクチン接種直後に亡くなった飯岡綾乃さんの遺影を横に記者会見する夫英治さん=愛知県愛西市で2022年11月17日、兵藤公治撮影

 11月5日、愛知県愛西市の新型コロナウイルスワクチン集団接種会場で、ワクチンの接種を受けた42歳の女性の様子が急変して心肺停止に陥り、その場にいた医師の手当ても功を奏さず、救急車で病院に運ばれましたがそのまま亡くなりました。この事故を受けて「やはり新型コロナワクチンは危険だ」という意見が多数出ているようです。しかし、厚生労働省は依然、6カ月以上の国民全員(妊娠中の女性を含む)に対して新型コロナワクチン接種の「努力義務」を課しています。日本小児科学会も「生後6カ月以上のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨します」という見解を発表しました。国が努力義務と言うのなら接種を受けるよう検討すべきなのでしょうが、安全性は確保されているのでしょうか。今回は愛西市で起こった死亡事故を分かりやすく解説し、今後のワクチン(追加)接種に関する私見を述べたいと思います。

担当医2人の報告

 愛西市の事件を振り返ってみましょう。この事件の詳細は実際に亡くなられた患者さんを診察した2人の医師が詳細な報告を提出し、厚労省のサイトで公開されています。報告には専門用語が多数連ねられていて少々分かりにくいと思いますので、私が簡単な言葉でまとめ直してみたいと思います。死亡された女性を便宜上「Iさん」とします。

 【接種会場で対応したA医師の報告】

 14時18分ごろにワクチン接種。接種直後、Iさんは「体調変わりなし」と答えた。14時25分ごろ、せきや体調不良などの症状が出現し、室内を歩く途中で座り込んでしまった。このため、看護師がIさんを車いすに乗せて救護室に移動させた。Iさんは看護師に「接種前から体調が悪かっ…

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太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。