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W杯のカタールで知った 「糖化ストレス」は体に悪い!

米井嘉一・同志社大学教授
開幕日を迎え、モニュメントの前で盛り上がるカタールサポーター=カタール・ドーハで2022年11月20日午前11時43分、宮武祐希撮影
開幕日を迎え、モニュメントの前で盛り上がるカタールサポーター=カタール・ドーハで2022年11月20日午前11時43分、宮武祐希撮影

 今年の連載も最後になりました。私は、仕事で訪れた中東・カタールで原稿を書いています。カタールと聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。砂漠、石油・天然ガス、イスラム教、ラマダン(断食月)、そして伝統衣装「トーブ」を思い浮かべることでしょう。私にとってカタールは14年ぶり、2度目の訪問です。最初に訪れた時から気づいていました。トーブをまとった男たちの横から見たシルエットから、飛び出たおなかと内臓脂肪の塊が丸見えでした。

肥満率高いカタール

 カタールも例にもれず、メタボリックシンドロームや糖尿病が増えています。「糖尿病は万病の源」と言われていますが、その原因は糖化ストレスが強く、炭水化物や脂質由来のアルデヒドが過剰になって、さまざまな疾患を引き起こすからです。

 例えば、アルツハイマー型認知症の場合、アミロイドベータという物質がアルデヒドと反応して糖化たんぱくを形成すると、神経細胞に対する毒性が増し、脳内に沈着しやすくなり、認知症が進行しやすくなります(2018年5月23日「認知症、がんのリスクを上げる『糖化ストレス』とは」参照)。

 カタールでは、肥満の罹患(りかん)率(体格指数「BMI」 30以上)が成人34.5%(男31.8%、女42.6%)、糖尿病の罹患率が成人22.9%(男23.4%、女19.6%)です(出典:世界保健機関「WHO」。肥満は15年、糖尿病は14年の集計)。死因に占める肥満の割合(19年)も高く、大きな問題になっています(出典:Our World in Data)。

 今回、カタールに行った理由は三つあります。一つ目は、糖化ストレス研究の第一人者で、国際メイラード学会の創始者であるHamad Bin Khalifa 大学のPaul J. Thornalley教授に、来年11月に京都で開催されるアンチエイジングの国際学会(AMWC-Japan)に招待したい旨を直接お伝えすることです。カタール政府が国策として糖化ストレス対策が重要と位置付けていることがわかります。

 二つ目は、サッカー日本代表チーム帯同の整形外科医、加藤晴康氏と打ち合わせすることです。立教大学教授でもある加藤氏は、23年9月の抗加齢内分泌研究会(アンチエイジング関連の研究会)の会長です。今回は、開催中のサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会で日本チームの活躍を支える立役者でした。けがをした選手の治療とリハビリで大忙し、携帯に声援を送るのが精いっぱいでした…

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同志社大学教授

よねい・よしかず 1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。89年に帰国し、日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。08年から同大学大学院生命医科学研究科教授を兼任。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。医師として患者さんに「歳ですから仕方がないですね」という言葉を口にしたくない、という思いから、老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。現在は抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事しながら、研究成果を世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。