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新年に身につけたい! 感染症と闘うための免疫力アップの生活習慣

米井嘉一・同志社大学教授

 新たな年を迎えました。早いもので、連載を始めてから7回目の正月です。新型コロナウイルスの記事(2020年3月10日)を書き始めてからまもなく3年になります。今後も、新たな感染症が私たちを襲ってくることでしょう。私たちにできることは、自分自身が持っている免疫防御機構をしっかりと維持することです。生活習慣によって免疫力向上する方法について考えてみたいと思います。

経口感染に対する防御

 生物の進化の過程では、免疫機能は消化管から発達してきました。消化管は、栄養摂取や老廃物の処理のほかに、口から侵入した病原生物の排除といった生体防御作用の役割を果たしています。そして、忘れてはならないのは、数億年以上前から腔腸(こうちょう)動物(ヒドラなど)の消化管には「腸内細菌」が共存し、ともに進化したことです。同様に、私たち(宿主)の消化管と腸内細菌が助け合い、お互いの連携によって、腸管免疫機構が進化してきました。このような細菌は相利共生菌(いわゆる善玉菌)と呼ばれています。私たち人類が現在繁栄しているのは、相利共生菌によって助けられ、厳しい自然との闘いの中で生き残ってきたおかげである、と言えるでしょう。

 相利共生菌は人種、居住地、気候、摂取食物によって種類が大きく異なります。稲作文化が主流となった弥生時代以降の長い期間、日本列島に居住した人たちには、気候風土に適した腸内細菌叢(そう)が形成されてきました。その結果、腸管免疫機構はベストの状態に保たれています。

 ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌は、①乳酸や酢酸、酪酸を腸管内で生成することにより腸管内を弱酸性に保つことで、②菌体成分が腸管壁を刺激して粘液(腸管表面のバリアー)や抗菌物質(デフェンシンなど)の分泌を促し、病原菌の繁殖を妨げます。

 しかし、近年の日本人の食生活が急激に変わりつつあります。これでは1000年以上も私たちの健康をサポートしてくれた善玉菌が混乱します(これはディスバイオーシスと呼ばれています)。

 私たちの食生活の何が変わったのでしょうか。

 まず、…

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同志社大学教授

よねい・よしかず 1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。89年に帰国し、日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。08年から同大学大学院生命医科学研究科教授を兼任。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。医師として患者さんに「歳ですから仕方がないですね」という言葉を口にしたくない、という思いから、老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。現在は抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事しながら、研究成果を世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。