
情報通信機器を使ったオンライン診療やスマートフォンのPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)アプリなど医療のデジタル化が進む中、これらをてんかん治療に生かす試みが昨年9月から始まった。てんかん患者は全国に約100万人いるとされるが、専門医は都市部に集中し、地域による偏りが大きい。デジタル機器の活用がてんかん治療の地域格差を改善すると期待されている。【高野聡】
突っ込んだ質問にも回答
「発作の時の動画を見てみましょう」
大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)で岡崎伸・小児脳神経内科部長がパソコン画面に話しかけた。映っているのは約1500キロ離れた沖縄県宮古島市に住む仲間久美子さん(45)。長女の百恵さん(11)は出生直後に難治性てんかんと診断され、1日に何度も激しいけいれん発作を繰り返している。普段、地元の県立宮古病院で診療を受けているが、発作をよりよくコントロールできる診療を受けたいと、てんかん専門医とつないだオンライン診療を希望した。
診療はてんかん用に開発されたオンライン診療サービス「nana-medi(ナナメディ)」を利用した。てんかん患者向けのPHRアプリ「nanacara(ナナカラ)」に保存した百恵さんの発作の動画や毎日の発作の記録、服薬履歴などを岡崎さん側のパソコンと共有しながら診療は進んだ。
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