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フランス人とパンの切っても切れない関係

竹内真里・フリーライター

 以前、自宅にフランス人たちが食事にやってきたときのことだ。日本食を作ってもてなしたのだが、招待客の一人がこう言った。「ねえ、パンはないの? パンがないってどういうこと?」。フランスパン(バゲット)は2022年末に、ユネスコの無形文化遺産に登録されたことで話題となったが、伝統的な自国のパンを大事にする一方、新しい味や食感にオープンになってきたとも感じる。フランス人とパンの切っても切れない関係とは。

パン屋通いは日課、商店の支援にも

 さてこの日、私はごはんにみそ汁、豚肉のしょうが焼きにサラダを用意していた。炭水化物の米があるし、そこにあえてフランス人客のためにパンを用意するという発想というか気遣いはなかった。ひとくくりにフランス人といっても、和食であればパンを必要と感じない人もいるし、この招待客のように、どの料理でも食事時にはパンを食べないと気が済まない人もいる。

 しかしこのことがあってから、たとえ和食を出すにしても、フランス人が食べに来るとなったら、とりあえずパンを用意しておくことにした。

 フランス人にとってパンは、私たちの主食の米と同じ。きっと毎日食べる人の方が一般的だ。朝と夕方、くるっと紙に包まれたフランスパンを小脇に抱えて帰宅する姿は想像しやすいだろう。

 年金生活者のクリスチャンさんに、毎日わざわざパン屋に買いに出かけるのは面倒くさくないかと尋ねると、「日課だから面倒じゃないですよ。店員さんや知人に会うから、楽しみでもあります。おいしいパンを食べることは私の食事に欠かせない。商店の応援にもなるでしょう。旅先でも滞在先で数軒まわって、私の口に合うパン屋を探します」と答えた。

 どこにでもあるような印象があるパン屋だが、このところの原材料費の値上げやエネルギー価格の高騰などの影響で、商品の価格調整や高すぎる電気代が払えないなどの問題を抱え、閉店に追い込まれるケースが現地報道で伝えられている。

パンを最も多く食べるのはシニア世代

 パリの研究機関Centre de recherche pour l’étude et l’observation des conditions de la vieの資料(2016年発表)によると、フランス国民のパン消費量は…

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フリーライター

1978年千葉県生まれ。東京で外国人児童の通訳支援員などを経て、2009年からライターとして取材・執筆に従事。香港に4年滞在後、15年から在仏。日本の新聞や海外旅行情報誌に現地情報などの執筆を続けている。現在はリヨン郊外在住。