
新型コロナウイルス対策のマスク着用ルールが緩和され、13日からは屋内外を問わず、個人の判断に委ねられます。それに先立ち、学校の卒業式では子どもや教職員がマスクなしで出席できるようになりました。この方針が示されてから、子どもたちや保護者の間からは不満や戸惑いの声が上がり、教職員の間でも「卒業式マスク問題」が話題だといいます。ベテラン教員の岡崎勝さんが現場の混乱を伝えながら、マスクの着脱など新型コロナ対策が学校や子どもたちにもたらしたものに迫ります。
※前回、今回は学校の多忙化解消に向け、教職員のなすべき「働き方改革」について述べると予告しましたが、次回以降に掲載します。
どこも「マスク着脱」は悩ましい問題なのに……
いやはや、卒業式のマスク問題で世間は大騒ぎである。
どこの学校も「マスク着脱」は悩ましい問題だ。「今、それ?」という感じで、「政府は何を言い出すんだよ……」と言いたくなる気持ちがある。正直、「もうどうでもいいや」という“コロナ疲れ”もあって、「ハイハイ、分かりましたよ。どうすりゃいいんでしょうか?」と各教育委員会のご指示を待った。
この3年間、新型コロナに振り回され、学校も対策に慣れたかなと思ったら、政府が「もう、いいでしょう、助さん格さん」(テレビ時代劇「水戸黄門」でご老公が、お供の助さん格さんに悪党へのお仕置きをやめさせるときに使うセリフ)みたいな話をしてきた。そして、一番の問題は、やはりマスクである。現場の混乱と、ことの本質に迫ってみたい。
子どもたちや保護者の不満と戸惑い
まず、卒業式は「マスクなし」が基本という方針が示されて以降に聞いた子どもたちの声を紹介したい。
「絶対に外すのはヤダ」
「はあ? 外すの、なんで? どうして? 意味分かんない」
「えっ、着けなくてよいって、やめてよ。だって、卒業式に着るはかまに合わせた、すっごいかわいいマスク用意しているのに~」
「おれは外すよ、イケメン見てほしいし」
「はっ、国歌斉唱で着けるの? 別れの言葉(呼びかけ形式)はどうするの? それも着けるの……えええ~、めんどくさ~」
「おれさ、別れの言葉さ、自分で言うのは一言だし、みんなで言うのは小さい声でいいからさ、マスク着けたくないんだよね。ううん、やっぱりどっちでもいいや。マスクって着けても着けなくても関係ないと思う」
「国歌も別れの言葉も、マスクしてれば、黙ってても分からないから気楽でいい」
「卒業式に着る服に、マスク入れるポケットあったかなあ……」
「受験は終わっているから、どうでもいいや」
一方、保護者たちからは次のような声が聞かれた。
「ちょっと心配ですねえ。感染リスクはどうなんでしょうか?」
「なんか教育的意義がドータラ、コータラ言ってますけど、マスクと関係あるんですか?」
「いやあ、よかったです。着物にマスクって似合いませんよ。成人式の時にマスク取った兄や友達の女の子のかわいい顔、すてきでしたよ。そもそもマスクって嫌…
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