
「そのうちに」と思っているうちに、ある日、突然やってくるのが介護です。そして、介護が始まると、多くの介護家族や介護者が直面するのが「自宅か施設か」の葛藤。昨年からそうした相談をいくつか受けています。そこで改めて考えたのは、1人暮らしの高齢の親への目配りの大切さと、医師や介護の相談窓口が「自宅生活はもう無理」と、安易に施設入居を勧めることが与える家族への影響でした。
突然、飛び込んできた親の認知症
昨年12月中旬、東京都世田谷区在住の里美さん(56)から、「相談に乗ってほしい」という連絡が入りました。前夜、横浜市の団地で1人暮らしをしている母(89)が、通院先の病院で「家の鍵がない」と大騒ぎ。110番され、警官に自宅まで送り届けられたというのです。
里美さんは母のもとに駆けつけましたが、状況がよくつかめないので、母の住むUR団地に配置されている生活相談員に話を聞きました。すると、水道料を払わずに水道を止められたり、近所の店に買い物に行った際に財布を忘れて知り合いに払ってもらったことを覚えていなかったり、転倒して救急搬送されたり、と里美さんの知らないトラブルがいくつもあったそうです。
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