
毎日新聞医療プレミアで「理由を探る認知症ケア」を2017年から月1回連載している認知症ケアアドバイザー・ペホスさん(50)の一日講座が7月30日、毎日文化センター大阪(大阪市北区)で開かれた。「認知症の人の行動には理由(わけ)がある ~エピソードからひも解く~」と題した講座には、教室・オンライン合わせて約30人が参加した。ペホスさんの講座の要旨は以下の通り。
認知症を受け入れよう
(高齢化が進み)認知症の方が増えて、「家族の顔が分からなくなる」など不安に思っている方が多い。ただ、それは認知症が原因とは限らない。きょうの講座では、認知症の方でも「その行動には理由がある」ということを理解してほしい。
ケアマネージャーとして最初に出会った人は、言ったことをすぐ忘れる人だった。そうなると、周囲の人は「どうして解決したらいいのか」と思っていたが、私は「どうしてそうなったのか」という理由に関心があった。それは、同じ太った人でもその理由が、運動不足なのか病気なのか薬の副作用なのかと、違うことと同じだ。記事で届けたいと思っているのは、知っておいてもらいたいのは、「なんでもかんでも認知症のせいではない」ということだ。
まず、認知症はダメなことではなく、まず受け入れるほうがいい。大変ではあるが。
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認知症ケアアドバイザー
ペ・ホス(裵鎬洙) 1973年生まれ、兵庫県在住。大学卒業後、訪問入浴サービスを手がける民間会社に入社。その後、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、訪問介護、介護老人保健施設などで相談業務に従事。コミュニケーショントレーニングネットワーク(CTN)にて、コーチングやコミュニケーションの各種トレーニングに参加し、かかわる人の内面の「あり方」が、“人”や“場”に与える影響の大きさを実感。それらの経験を元に現在、「認知症ケアアドバイザー」「メンタルコーチ」「研修講師」として、介護に携わるさまざまな立場の人に、知識や技術だけでなく「あり方」の大切さの発見を促す研修やコーチングセッションを提供している。著書に「理由を探る認知症ケア 関わり方が180度変わる本」。介護福祉士、介護支援専門員、主任介護支援専門員。ミカタプラス代表。→→→個別の相談をご希望の方はこちら。
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