
連載記事 119件
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お風呂に入れた 埼玉県越谷市・相馬郁子(主婦・78歳)
患者の気持ち
昨年の秋、友と2人で瀬戸内海のしまなみ海道に旅行し、愛媛県今治市のホテルに泊まりました。部屋の風呂が大きく、湯船に入りやすいように手すりがついていました。 友は先に入ると「これならあなたも入れるよ」。私がこの5~6年ほど、自宅の浴槽に入ったことがないので勧めてくれたのです。股関節を手術した後、足の
2020年3月29日
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越ゆる 埼玉県入間市・中村元子(主婦・86歳)
患者の気持ち
寝室の壁に「越ゆる」という文字を書いた色紙をずっとかけています。過去に、乳がんと診断された時にすずりを出して、気を静めながら「越ゆる」と書きました。 がんと分かった時、高齢なので医師からは、いろいろと心配されました。「(抗がん剤の副作用で)髪の毛が薄くなるかもしれませんが」と言われ「時が来れば伸び
2020年3月22日
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夫の一句 埼玉県川越市・加茂礼子(主婦・72歳)
患者の気持ち
桜の咲く頃になると、夫の詠んだ川柳の一句がリフレインする。夫は末期の腎臓がんで7年間の闘病の末、2017年の11月に76歳で逝った。 闘病が始まった頃、私は今の治療が最善かどうか、また、夫に一日でも長く生きていてほしいという一心で、いくつかの大学病院を訪ね歩いた。がん専門病院の相談室を訪れた時、私
2020年3月15日
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あきらめないで 新潟市・匿名希望(主婦・64歳)
患者の気持ち
以前から腰の痛みがあり、病院で脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症と診断されていた。そのうち背骨も痛くなり、1年ぐらい前からは左足にしびれが出始めた。歩き始めてしばらくすると、足先から太ももの後ろにかけてしびれて歩けなくなる。足を休めただけでは収まらず、腰を下ろして休まないと歩けない。台所仕事
2020年3月8日
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普通の生活に 埼玉県久喜市・野川清(無職・73歳)
患者の気持ち
2010年に地元の病院で、すい臓がんの手術を受けました。おかげさまで、術後満10年を迎えることができました。 難治性で5年後の生存率は1割に満たないといわれ、しかも私は「ステージ4のA」との診断でしたから、まさに助けていただいた命だと思っています。 手術を担当していただいた先生に直接、お目にかかっ
2020年3月1日
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小さな贈り物 埼玉県上尾市・河合節子(主婦・71歳)
患者の気持ち
下腹に硬いしこりを見つけたのは、14年前のクリスマスイブだった。 「何?」と思いながら年末を過ごし、年を越したらどんどん大きくなって、1月半ばには手のひら大になった。 病院へ行くと「たぶん、悪性の腫瘍(卵巣がん)ですね」との診断だった。ドラマなどでは本人とともに家族が呼ばれて診断を告げられるのを見
2020年2月23日
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先生との別れ 兵庫県西宮市・中川卯衣(医師・41歳)
患者の気持ち
往診先の老人ホームに、小学生の頃の担任の先生が入所していて偶然、再会した。今度は私が「先生」になった。認知機能に衰えがあり、記憶にムラはあったが、先生は私を忘れていなかった。いつ訪れても私をねぎらってくださり、手を握り合い再会を喜んだ。少しずつ体は弱り、入退院を繰り返すようになった。先日、何度目か
2020年2月16日
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がんの手術 茨城県守谷市・匿名希望(パート・63歳)
患者の気持ち
今まで一度も受けたことのない大腸内視鏡検査を、昨年11月に受けた。 人間ドックの結果が出る前から予想はしていたので、受けるつもりでいた。「ポリープぐらいはあるだろう」などと、のんきに構えていた私に医師は告げた。 手術して取る必要のあるポリープは五つ。しかも3・5センチの大きなポリープは、おそらくが
2020年2月9日
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声を失って 埼玉県桶川市・匿名希望(家事手伝い・27歳)
患者の気持ち
失声症は厄介だ。一時的に治っても、大きなショックを受けると喉の奥でふたが閉じるような感覚があり、声が出せなくなってしまう。 心に問題を抱えていた時期に医師に相談したところ、淡々とした口調で「あなたが全部受け入れるしかないね」と、バッサリ切り捨てられた。それならば仕方ない。「すべて受け入れ、我慢しよ
2020年2月2日
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がんとつきあう 北九州市小倉北区・小川龍二(無職・74歳)
患者の気持ち
「悪性リンパ腫」という病名のがんを患っているが、がん患者だ、という意識はほとんどない。だが、患者たる意識が全くないとは言わない。全くなければ、このように投稿の題材にすることもないだろう。ただ、拘泥していないだけのことだ。 近年、医療の進歩が著しいせいもあるだろう。さまざまながんの医療現場では、がん
2020年1月26日
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目も新しく 千葉市美浜区・高橋美代子(主婦・71歳)
患者の気持ち
71歳になるまでパートで30年間働き続けてきた。夫から「長い間働いてきたのだから、体力が回復するのに半年はかかるよ」と言われた。ある程度体力が回復してきた矢先のこと。昨年の夏は暑かった。この年の9月、私が「暑いと空気にもやがかかるのね」と言うと、夫に「もやはかかっていないよ。病院でみてもらったら」
2020年1月19日
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膵臓がんに注意 埼玉県鴻巣市・鷺柳一(無職・73歳)
患者の気持ち
先月16日の毎日新聞「悼む」欄に掲載されたのは、大相撲の井筒好昭さん(元関脇・逆鉾)とグラフィックデザイナーの勝井三雄さんの2人で、井筒さんは58歳、勝井さんは87歳で亡くなった。くしくも、ともに死因は膵臓(すいぞう)がんだった。ご冥福をお祈りしたい。 ところで、糖尿病が持病の私が気になったのは、
2020年1月12日
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はしゃぎ過ぎ? 新潟市中央区・佐藤妙子(無職・68歳)
患者の気持ち
70に手が届く年齢にしては体力と気力はあった。友人たちには「いつも若々しいわね!」「何かスポーツやってるの?」「今日もおしゃれして」と冷やかされ、持病の腰痛も忘れてはしゃいでいた。 外出が殊の外多かったせいか、自分の健康に無頓着だった。突然、腰に激痛が走り、立っても座ってもいられない苦しみに襲われ
2019年12月22日
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小さな親切 札幌市北区・小林俊彦(塾講師・81歳)
患者の気持ち
若い頃は健脚を誇っていたが、次第に脳梗塞(こうそく)と脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)で入院したり、痛風も発症したりと、健康には自信が全くなくなった。 特に、右足の筋力が弱って体のバランスが失われ、つえがなくては歩けなくなり、気持ちも弱まっている。元気に歩いている高齢者を見ると、うらやましく
2019年12月15日
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巡り合い 埼玉県鴻巣市・嶋村薫(主婦・56歳)
患者の気持ち
私は子供の頃から病弱で、病院と縁が切れたことがほとんどありません。学校の皆勤賞はあこがれでした。 結婚後、元気な時期もありましたが、14年前には婦人科の病院で大手術を受けました。その後も心の病にかかり、現在も治療を受けています。さらには風邪からせきぜんそくに、その後ぜんそくに移行し、入退院を繰り返
2019年12月8日
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決意 新潟市西区・臼井宏子(主婦・53歳)
患者の気持ち
乳がんの診断を受け、手術を待つ身である。 もともと良性の乳腺腫瘍があり、半年に1度、専門のクリニックを受診していた。そのためかなり早い段階で見つかったらしいのだが、それでも、がんはがんだ。 「まあ50を過ぎればこんなこともあろう」と私は冷静に受け止めることができた。そして覚悟を決めたはずだった。
2019年12月1日
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少しの努力 神奈川県大和市・内海弘子(主婦・73歳)
患者の気持ち
元号が令和に変わってから、すぐに受けた検診で乳がんが見つかり、7月に乳房全摘の手術を受けました。今まで親兄弟にはがんになった者はおらず、20年も前に検診を受けたきり、がんに対しては油断しきっておりました。 しかし、後悔していても始まりません。数々の検査を受け、手術に臨みました。経過は良好で2週間ほ
2019年11月17日
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雲 埼玉県ふじみ野市・阿部ツエ子(無職・91歳)
患者の気持ち
夕方7時、その日は祝日で娘は仕事が休みだった。私の様子を見て「お母さん病院へ行こう」。娘の不安げな気配に促され、いつも通っている病院へ。今年で3度目の入院となった。どうなるかと不安だったが、1週間ほどで小康状態となり、ほっとした。先生やスタッフの方はみんな優しい。この間、大好きな雲の観察をして過ご
2019年11月10日
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ばあちゃん 埼玉県深谷市・針谷育子(農業・71歳)
患者の気持ち
「こんばんは。今、病室に戻ってきたところ。変わりないかい!」。毎晩、私のところに電話をくれる親戚の秩父のばあちゃんが、1日おきの透析を終えて連絡をくれた。もう何年も透析治療を受けているが、ただの一度も「痛い、つらい」という言葉を聞いたことがない。 介護施設に住み、「寝たきりになると、周りの者に迷惑
2019年11月3日
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がんとともに 札幌市南区・匿名希望(無職・64歳)
患者の気持ち
15年前、私の乳がんが判明した。わが子は、まだ7歳だったので青ざめた。すぐに手術した。幸いゼロ期と言われ、何とか安心した。 ところが7年前、偶然のことから、思いがけず骨への転移が判明した。子は、まだ中学生だったので私はふるえ上がった。幸い、2センチの骨転移のほかは、微細な転移が数カ所のみだった。即
2019年10月27日
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歯も目も大事に 東京都大田区・松原昌子(無職・80歳)
患者の気持ち
歯は80歳になっても自分の歯を20本以上保つ「8020」を目標にと言われるが、私は歯だけは丈夫で今も28本、虫歯もなくそろっている。おまけに下の歯には親知らずがあり、歯茎にもぐっているが、レントゲン撮影では、しっかり映っている。 過去にがんの手術を経験し、今もおなかの中に不審者がいて、定期的に検査
2019年10月20日
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災害見舞い 千葉県茂原市・杉本真喜子(無職・72歳)
患者の気持ち
私は難病のために自分の所作を家人頼りとし、車椅子で暮らしています。普段は自宅から車で30分ほどの他市の病院の訪問診療を受けています。 9月9日の未明から明け方にかけ、千葉市内を直撃した台風15号により、大規模な停電や断水が発生しました。ライフラインの寸断に私は、言いようのない不安と恐怖におびえまし
2019年10月13日
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患者に寄り添って 北九州市八幡西区・山田カヨ子(主婦・78歳)
患者の気持ち
乳がんの術後20年がたつ。転移もなく、今は寛解の時なのか、ありがたく思う。退院後はしばらく周囲のお知恵を拝借しながら体に害がないことを第一条件に考え、半日もかけて温灸(おんきゅう)などで患部を温める治療を自分で続けた。よく頑張ったと思う。 そんな中、術後初めての診察の時、主治医から「これからは放射
2019年10月6日
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日々感謝 宮城県東松島市・山崎清美(主婦・62歳)
患者の気持ち
私は日々、感謝している。パーキンソン病を患い、緩やかに体が動かなくなっていく。そんな中で周りの人たちの優しさをひしひしと感じている。 今まで縦のものを横にもしなかった夫が、食事の後片付けをしてくれる。85歳の母もさまざまな面でサポートしてくれる。娘は優しいながらも時折は厳しく励ましてくれる。周りの
2019年9月29日
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年をとれば 千葉県柏市・柴沼迪子(無職・76歳)
患者の気持ち
75歳まで大きな病気をしたことはなく、入院は出産の時の3回だけで、通院は眼科とたまに歯医者くらい。めったに風邪もひかないので、病院といえば年1回、市の無料健診と2、3年に1度の人間ドックの時くらいしか行くことはなく、かかりつけ医もなかった。 ところが昨年、夫を亡くし3カ月ほどたった夏の朝。1分間の
2019年9月22日
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患者の気持ち 病気になって 新潟市江南区・高橋祥子(無職・61歳)
患者の気持ち
ぜんそくになってしまった。昨冬に風邪をひいてなかなか治らず「せきが続くなあ」と思っていたら、今年の春先にはせき込んで止まらなくなった。息をするのも苦しくなり、通っていた耳鼻科の紹介で総合病院に行くと「気管支ぜんそくです」と診断された。「一生、薬を飲み続けなければいけません」と言われ、ショックだった
2019年9月15日
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差し歯 千葉市美浜区・三好実千代(主婦・68歳)
患者の気持ち
6年前、上あごの犬歯を治療した時に歯科医から「差し歯しか治療法がない」と言われ、承知しました。 たった一本の歯のことですが、元の歯を抜くなど時間がかかりました。セラミックの義歯ができあがり、いざ口内に入れようという段階で、先生が看護師さんに接着剤の商品名を言い、看護師さんは「はい」と返事。接着剤に
2019年9月8日
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脳動脈瘤 東京都三鷹市・女性(主婦・68歳)
患者の気持ち
朝起きて何気なく手を見たら指がぼやけて重なり合ったように見え、目のピントが合わない感じが続き眼科を受診しましたが、目は悪く…
2017年7月1日
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良い妻は悪妻? 千葉県銚子市・女性(主婦・74歳)
患者の気持ち
夫は3年前から胃がん、肺がんの手術をし、抗がん剤も何とか乗り切ったが、毎日家で顔をつきあわせていると、何がというわけではな…
2017年6月17日
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腰の痛み 東京都足立区・女性(主婦・68歳)
患者の気持ち
「靴の底が左右同じように減らない人」「つい足を組むくせのある人」「バッグを同じ側にかけてしまう人」。まだ二、三あったと記憶…
2017年4月29日