
国際社会の現実と隔たり
本気で憲法9条の改正を考えるなら、「自衛隊明記」などという小手先の改正ではなく、真正面から堂々と憲法9条2項の改正を国民に問うべきだ。
憲法9条をめぐっては、戦後70年さまざまな議論が行われてきたが、突き詰めれば、9条2項の条文と国際社会の現実との乖離(かいり)にあることは明らかだ。すなわち、「戦力の不保持」を明記しながら、世界最強レベルの自衛隊を保有していること。これ以上の矛盾はない。しかも、その矛盾を戦後70年放置することによって国家の最高法規たる憲法の「空洞化」を招いてしまった。この点こそが、憲法改正を必要とする問題の核心だ。
9条1項には普遍性がある。「戦争の違法化」「武力の行使や威嚇の禁止」「国際紛争の平和的解決」といった考え方は、1929年の不戦条約から45年の国連憲章に引き継がれた現代国際法の普遍的原則ともいうべきものだ。
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長島昭久
元副防衛相
1962年生まれ。米外交問題評議会上席研究員などを経て、2003年衆院初当選。首相補佐官、副防衛相などを歴任。衆院比例東京。当選7回。自民党二階派。
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