外事大事

なぜ米国は「中国製造2025」を目の敵にするのか

坂東賢治・専門編集委員
  • 文字
  • 印刷
坂東賢治専門編集委員=和田大典撮影
坂東賢治専門編集委員=和田大典撮影

 米トランプ政権が中国との貿易紛争で最大のターゲットにしているのが中国政府がハイテク産業育成のために打ち出した「中国製造2025」だ。「世界の工場」から「製造強国」へのアップグレードを目指す産業政策だが、米国は中国発の新たな脅威と受け止めている。「中国製造2025」の何が米国をいら立たせるのか。経済紛争にとどまらない米中の覇権争いの実情を読み解きたい。

 「中国製造2025」が公表されたのは2015年5月。李克強首相の肝煎りで主管の工業情報省が作成し、「国務院(政府)」の名義で政府各部門や地方政府に通知された。今世紀半ばに「世界の製造業の発展を率いる製造強国」になることを戦略目標に掲げ、第1期となる25年までの10年間の「行動綱領」と位置づけている。

 A4判で17ページ。10年間の計画にしてはコンパクトだが、内容はなかなか壮大だ。キーワードは技術革新を意味する「創新」(イノベーション)。「中国製造」から「中国創造」、「中国産品」から「中国ブランド」への転換を実現し、中国の製造業を「大」から「強」に変えることが戦略ミッションとされている。

この記事は有料記事です。

残り1868文字(全文2342文字)

坂東賢治

専門編集委員

1981年入社。政治部、外信部を経て91年に香港支局長。中国総局長(北京)、ニューヨーク支局長、北米総局長(ワシントン)を歴任し、現在は論説室専門編集委員。中国政治や米中関係などをウオッチしている。