
「外交のプロ」視線の先は
北朝鮮の非核化のため、米朝首脳会談が開催された。北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」実現のため、経済制裁、首脳会談、実務協議、特使の往来など平和的な手段が尽くされている。軍事制裁につながる手段を、表では見せないことは、北朝鮮内部の政軍関係の混乱を引き起こさない配慮を思わせ、外交のプロの仕事水準を示している。政軍関係が混乱すれば、首脳の対外的譲歩の余地は消滅する。
外交のプロの仕事の地平にあるのは、国際法である。外交で、つまり平和的な手段で仕事をするなら、最後は国際法に着地させなければならない。北朝鮮の非核化問題では、1994年の北朝鮮の核開発を凍結する米朝枠組み合意の失敗が指摘される。
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猪口邦子
元少子化担当相
1952年生まれ。上智大法学部教授、軍縮会議日本政府代表大使などを経て、2005年衆院初当選、10年参院初当選。参院千葉、衆院当選1回、参院当選2回。自民党麻生派。