寄稿 国会改革

「平成のうちに」実現を 与野党で盛り上げよう

    柴山昌彦氏=根岸基弘撮影
    柴山昌彦氏=根岸基弘撮影

    原点は10年の「若手議員提言」

     超党派の勉強会の「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」で国会改革に取り組んでいる。その原点の一つは2010年に、私をふくめた与野党の8人の若手議員がまとめた提言にある。

     当時は参院で野党が過半数を占める「ねじれ国会」で、国会の機能不全が大きな問題になっていた。このため、与野党で話し合って、生産的な国会審議にしようという機運があった。

     当時は自民党が野党だったが、野党は政策の内容と無関係に日程を人質に取って争うのではなく、与党の政策の誤りを国民に示して正すことを目指す。あるいは、法案を修正させることを目指す。

     そういう考え方から与野党の議員が集まって提言を作った。会期不継続原則の廃止(いわゆる通年国会)▽外交への配慮から、閣僚の国会出席について配慮する▽予算委員会には財務相と関係閣僚の出席とし、首相は総括質疑に出席▽スキャンダルは予算委では扱わず、政治倫理審査会で扱う-などの内容だ。

    守られない14年の合意事項

     この提言の影響の一つとして、14年には当時の与野党が「国会審議の充実に関する申し合わせ」という合意文書を結んだ。首相や閣僚の国会出席の負担を軽減し、「審議促進のために常任委員会の定例日は原則開催」「閣僚が国際会議や災害対応などやむを得ない事情で欠席の場合、副大臣や政務官らが対応」などで合意した。

     ところが当時の野党第1党だった民主党はなくなってしまい、この合意事項も守られなくなっている。

     この10年、国会改革が全く進んでいないとは思っていない。しかし、たとえば14年の合意では「月1回、党首討論を開く」と明記されている。閣僚の外遊の際は副大臣で対応するとも書いてある。それなのに喉元過ぎれば、いつのまにか昔のやり方に戻ってしまっているというのが最大の問題だ。

     だから今回の勉強会で「平成のうちに」という年限を切ったのもその意味がある。

    不毛な「日程闘争」やめよう

     改革の要点の一つは、「日程闘争」だ。国会会期に制限がなければ、与党が強行採決する必要もなければ、野党が審議拒否する必要もない。「日程闘争」の一番の被害者は国民で、こうしたことを続けていては、与野党を問わず国会全体が国民から信頼を失う。

     ただ難しい問題がある。国会の生産性を高めること自体には誰も異論がないが、しかし野党からみると、単に与党の手柄になってしまうのではないか、という懸念が出てくるのは、理解できる。

     だから、会期制限を撤廃して通年国会を実現しようとするならば、そのことによって与野党ともにメリットがあるということが納得できるかが重要なポイントになる。しかし、これがなかなか難しい。

     私も衆院予算委員会の理事になって現場の雰囲気を感じているが、やはり野党にとってはテレビ中継が入る、首相出席の予算委員会が主戦場になる。そうすると結局、予算委がスキャンダル追及の場になる。集中審議であればそれも良いが、一般の予算質疑でもスキャンダルの追及がメインになってしまっている。

     そして与党のほうも「これでは予算審議が進まない」と主張して、野党の追及を阻止するための言い訳にしている面もある。

     10年の提言では「予算委でスキャンダル追及をしない」とする場合は、政治倫理審査会を開くことになっている。これは与党にとっては野党の追及を阻止しづらくなることも意味している。つまり、予算委でのスキャンダル追及をしないという制度改革は、与野党双方にとって簡単なことではない。難しさを痛感しているところだ。

    与野党での取り組みが不可欠

     一方で、与党が衆参両院で多数を占めるなかで国会改革を進めようとすれば、野党側が与党に有利な改革になるのではないかと懸念することも当然だろう。

     だから、国会改革は野党が賛成しないと進まない。むしろ野党の提案を与党が受け止めるぐらいでなければ、進まないと思っている。

     そのため今回、勉強会を始めるにあたって、私はかつての提言をした与野党双方の議員に声をかけることにこだわった。それは国会改革は最終的には議院運営委員会で決めることであっても、本当に実現しようと思ったら、与野党双方が努力しなければならないと思っているからだ。

    提言メンバーの参加が重要

     私は当時の提言に参加した与野党の「チャーターメンバー」(創設時の会員)は少なくともその思いをもっていて、今も共有できていると考えている。その人たちに参加してもらいたいと思った。

     今回の勉強会では、副会長に10年の提言のメンバーだった細野豪志衆院議員、幹事長もやはり提言のメンバーの泉健太衆院議員だ。私が幹事長代理で泉さんをバックアップしている。野党のみなさんに力を発揮してもらいたいという私の思いが反映した人事だと考えてほしい。

     河野太郎外相には私が国際電話をかけて、外遊先から帰国直後に出席してもらった。河野さんも提言のメンバーで、国会改革に非常に強い思いがある。

     そうした意味で、私には今までの流れの延長線上で、今回の勉強会をやりたいという強い思いがあった。我々は本当に長い時間をかけて取り組んできたのに、一部にそのことを踏まえていない報道があったのは残念だ。

     そのうえで、勉強会には各党の議運や国対の関係者にも加わってもらった。だから、勉強会だけれども、ここで決めたことは実現可能性が大きいと思っている。

     もちろん、以前にはなかったIT化など、新しい問題もある。そういったことも加え、チャーターメンバーがエンジンとなり、若い議員の活躍で盛り上げ、この改革を実現していきたい。

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    プロフィール

    柴山昌彦

    柴山昌彦

    自民党総裁特別補佐

    1965年生まれ。弁護士を経て、2004年衆院初当選。外務政務官、副総務相、衆院内閣委員長、首相補佐官などを歴任。衆院埼玉8区、当選6回。自民党細田派。