防衛のリアル

尾上定正・元空将
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尾上定正氏=岡本同世撮影
尾上定正氏=岡本同世撮影

北朝鮮の核の脅威、除去されない

 航空自衛隊の制服を脱いで間もなく1年となる。防衛大学校時代を含めると40年以上、我が国の防衛に努め、安全保障のことを考えてきたが、今ほど危機感を覚えたことはない。米朝首脳会談から約1カ月、北朝鮮の非核化に何の進展もないまま、偽りの融和ムードに流され、制裁緩和だけが動いていると感じるからである。

 今のまま進めば、我が国に対する北朝鮮の核弾道ミサイルの脅威が除去されないことは明白である。にもかかわらず、トランプ米政権に対する核抑止の再保証(reassurance)を要求する動きも、自らの防衛力を高めようとする動きも見られない。2発の原子爆弾の惨禍を経験した唯一の国として、あまりに無防備、無責任ではないだろうか。

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尾上定正

元空将

1959年生まれ、82年防衛大学卒(26期)。第2航空団司令兼千歳基地司令、北部航空方面隊司令官などを歴任し、航空自衛隊補給本部長を最後に2017年に退官。19年7月からハーバード大学アジアセンターのフェローに就任。