時の足音

なおみフィーバーの後で

伊藤智永・編集委員兼論説委員
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全米オープン女子シングルスで優勝し、横浜市内で記者会見を開いた大坂なおみ選手=2018年9月13日、藤井達也撮影
全米オープン女子シングルスで優勝し、横浜市内で記者会見を開いた大坂なおみ選手=2018年9月13日、藤井達也撮影

 女子テニスの大坂なおみ選手(20)はコートの外でも決して「無邪気」なんかじゃない。何だか少し眠たげな目、いつも恥ずかしそうな話し方、片言の日本語が聞く人の警戒心を解き、少女の面影を残している印象があるが、自らのアイデンティティーを語る言葉は、どれも陰影のある省察と明確な意志をうかがわせる。

 「たぶん、みんな私が何者なのかはっきりと言い表せないから、誰でも私を応援してくれるんじゃないかしら」(8月23日付米ニューヨーク・タイムズ紙の特集記事)

 「今日(上の記事を読んだ)私みたいなハーフの子供たちが私のことを尊敬してくれているみたいで、すごい…

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伊藤智永

編集委員兼論説委員

記者歴30余年。平成の日本政・官界を担当してきた。ジュネーブ特派員として2010年、アラブ民主革命やギリシャ経済危機の現場を歩く。毎日新聞にコラム「時の在りか」連載中。著書に「靖国と千鳥ケ淵」(講談社+α文庫)「忘却された支配」(岩波書店)他。