来年の消費増税、是か非か ご意見募集

西田亮介・東京工業大学准教授
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西田亮介さん
西田亮介さん

 来年の8%から10%への消費増税がいよいよ現実味を増してきた。15日の閣議で改めて実施が表明された。消費税は国の一般税収における歳入の柱のひとつとされ、なかでも所得税や法人税と比べて安定した歳入増が見込めるとされている。

 これは多くの国民の生活に増税が即、影響するということの裏返しでもあり、政治の文脈では導入や税率引き上げに言及した幾つもの政権が致命傷を負ってきた。安倍政権はすでに2014年4月1日に17年ぶりとなる5%から8%への税率引き上げを実施した。もし2度目の増税を実現すれば、前代未聞のこととなる。

 財政健全化は長く日本が抱えている問題で、高齢化に伴う社会保障関連支出増への対応等のため、確かに税収増は避けては通れないだろう。だが、国民生活の状況はどうか。世帯の平均所得金額の年次推移を見てみると、00年代以降の世帯の平均所得はおおむね横ばいか微減で推移している。

 高齢化のためだけとも考えがたい。「児童のいる世帯」、すなわちおおむね現役世代を意味している世代に限定しても、おおむね横ばいで推移している。(参照:厚生労働省「各種世帯の1世帯当たり平均所得金額の年次推移」『平成29年 国民生活基礎調査の概況』9ページのグラフ=図8

 この間、非正規雇用率も上昇している。確かに65歳以上の高齢者増も影響しているが、35歳から64歳までの世代の非正規雇用者数も増加している点に注目したい。非正規雇用率が高くなっているのは、高齢化だけの影響とはいえないのである。

 「現役世代の負担が重たく、世帯の所得の伸びは感じられず、現役世代に対する投資が乏しい社会」。これが現在の我々の社会の姿だが、果たして、このタイミングでの税率引き上げは適切か。

 このような問いに対して、長くこの問題に関心を寄せてきた馬淵澄夫氏はむしろ消費税率の引き下げを主張する。馬淵氏は自民党総裁選で消費増税の問題は適切に争点化されなかったという。安倍陣営は以前から来年からの引き上げを主張。石破陣営は態度を直接には明確にしなかったが、石破茂氏は著書などで財政健全化と、やはり消費増税が持論だった。つまり消費税維持、ましてや引き下げという選択肢はこの間、選択肢として十分に議論されることすらなかったというのである。そのことを思い出すと、消費税引き下げの提案は斬新だ。馬淵氏は寄稿のなかで、かなり具体的な提案に踏み込んだ自身のリポートにリンクを張っている。一読する価値はある。

 ただし、その一方で直近の消費増税は政治的に「今しかない」という事情もありそうだ。20年東京五輪への投資やある種の社会の勢いが期待できるうちの実施となり、さらに総裁3期目で「次」への政治的影響力をそれほど気にしなくてもよいという意味では、近い将来で政治的には来年しか増税のタイミングは見当たらなさそうなのだ。

 これらの論点、状況や馬淵氏の税率引き下げ等の提案も含めて、消費税をどのようにすべきだと読者の皆さんは考えますか。ぜひ、コメントをお寄せください。

西田亮介

東京工業大学准教授

1983年生まれ。博士(政策・メディア)。専門は社会学、公共政策学。著書に「ネット選挙--解禁がもたらす日本社会の変容」「情報武装する政治」。ツイッター @Ryosuke_Nishida