
日本の喫緊の課題は膨張の続く公的債務であり、その最大の原因は社会保障給付の増大だ。社会保険料では賄えず、国のお金が投入されているが、税金も増えていないから、結局、社会保障制度は、将来世代へのつけ回しで運営されている。
アベノミクスの基本戦略は、デフレ脱却で経済成長を高め、財政問題や社会保障問題を解決するというものだった。6年間、日銀が積極的な金融緩和を続け、完全雇用を達成したが、2018年度もプライマリー収支は国内総生産(GDP)比で2.8%の赤字が見込まれている(内閣府試算)。大規模な金融政策での問題解決は難しかったということだ。
今回、安倍政権は、新たに「生涯現役社会に向けた雇用・社会保障制度改革」を打ち出した。70歳まで働く環境を作り、社会保障給付を抑制すると同時に、元気な高齢者には社会保障をサポートする側に回ってもらうという戦略だ。妥当な政策だが、それだけでは社会保障制度の財源を賄えない。増税と歳出削減が必要だろう。
岡田克也氏が主張するように、10%を超える消費増税への合意を取り付ける必要がある。社会保障の原点に戻って、世代に関わらず、困窮する人をサポートし、ゆとりある人は高齢者もサポートする側に回ってもらわなければならない。いずれも妥当な主張である。
ただ、増税や歳出削減を選挙の争点にすれば、先送りが繰り返される。こうした状況を避けるための枠組みが12年の3党合意だった。安倍政権下で事実上破棄されたが、与野党で新たな合意が必要だ。野党にも参加を求める社会保障国民会議を新たに創設する必要があるだろう。
将来、20%程度の消費税が必要と考える専門家が多いようです。読者の皆さんはいかがお考えでしょうか。
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今回、ゲストのモデレーターをBNPパリバ証券の河野龍太郎氏が務めます。
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