
そのニュースを最初にテレビで見かけたとき、思わず「へー」と漏らしてしまった。へーっ、そこまでやるようになったんだな、と。9月17日、海上自衛隊が南シナ海での潜水艦の訓練について公表した案件である。艦の構造自体が「機密」とされ、乗艦取材の際もハッチの厚さから性能がわかってしまうなどとして写真撮影が厳しく制限される。そんな潜水艦の行動について、訓練とはいえ「公表」することはふつうならありえないと感じた。だから、この公表のウラには何か大きな意図があるはずだ、と。
翌日になって、この案件はその日の朝刊1面で朝日新聞が報じた「特ダネ」だと知った。だとしたら、「へー」というより「ほぉー」である。本当は知らせたくない事実を新聞に書かれたなら、自衛隊という組織は「公表」はしない。私は防衛記者の経験があるから体感的に分かる。他社の記者たちから事実確認を迫られ、広報担当者が上層部の了解を取ったのち、しぶしぶ認めるものだ。そういうのは、「公表」にはならない。つまり、朝日…
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