「勉強しない高校生」なぜ増えた ご意見募集

水無田気流・社会学者・詩人
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水無田気流さん
水無田気流さん

 浅尾慶一郎氏の「なぜ文科省が高校担当を新設したのか? 勉強しない高校生」は、初等中等教育局に高校を担当する参事官(課長級)を初めて置くに至った背景を、第16回「21世紀出生児 (2001<平成13>年出生児)の継続調査」の結果より、高校生の勉強時間が減少していることに注目しています。

 同コラムでは「勉強しなくなる理由は不明」とありますが、統計調査にかんがみると、高校生の勉強時間は、学力階層によって大きな隔たりがあることが分かっています。たとえばチャイルド・リサーチ・ネット(CRN)によれば、偏差値60以上の上位層は平日塾や予備校を含めた校外学習を「ほとんどしない」と答えた学生は7.7%しかおらず、「2時間+2時間30分」「3時間+3時間以上」勉強すると回答した生徒は合計46.9%に上ります。一方、偏差値40未満の下位層になると、同「ほとんどしない」は47.1%となり、「2時間+2時間30分」「3時間+3時間以上」は計16.4%と、上位層と比べ校外学習時間に大きな差があります。

 ベネッセ教育総合研究所の「高校1・2年生時の平日学校外学習時間」調査(大学生対象)によれば、平日学校外の平均学習時間は、「私立・中高一貫」(79.3分)>「私立・3年制」(64.6分)>「公立・3年制」(63.6分)と、これも学校種別に差が見られました。

 大枠で見て、「偏差値上位」「私立・中高一貫校卒」の属性で、校外でも学習時間を確保している結果となりましたが、これはおおむね中学受験の勉強を始める小学校中学年くらいからの「学習習慣の積み重ね経験」がある生徒と推測されます。このような生徒は、中学校から私立校を視野に入れられるだけの経済的余裕のある階層であるとも推測されるため、高校生全体での学習時間の低下は、要は階層のうち「下」の方に属す高校生の層が厚くなってきたことの証左といえるのではないでしょうか。彼らの学習意欲を削ぐ要因とは、何でしょうか。今回は、それらを含めご一緒に考えていただけましたら幸いです。みなさまのご意見をお待ちしております。

水無田気流

社会学者・詩人

1970年生まれ。国学院大教授。専門は文化社会学、ジェンダー論。著書に「『居場所』のない男、『時間』がない女」など。詩人として、詩集「音速平和」で、中原中也賞を受賞。ブログ http://d.hatena.ne.jp/minashita/ 、ツイッター @nonaioyaji
。本名の田中理恵子名義でも執筆。