
「参議院は『良識の府』たれ」という主張を初めて聞いたとき、「衆議院に良識はなくていいの!?」と反応する人も多いかもしれません。
参議院の存在理由、あるいは理想としてしばしば言及される「良識の府」は、実は憲法等で特に規定されているものではありません。憲法では、首班(首相)指名や各種議案に関し衆議院の議決が優越すること、衆議院には解散があること、任期の違いなどが定められていますが、基本的には衆参両院に大きな差を設けているわけではありません。そしてこのために、似たような院が二つも必要かという疑問が長年にわたりくすぶり続けることになりました。「良識の府」は、この疑問への回答として後から強調されるようになった参議院の存在理由だと言えるでしょう。
先行する参議院改革
このような危うい立場であったため、参議院ではしばしば改革が講じられてきました。今回、意見募集の対象となった浅田均・参議院議員の記事では、超党派の衆議院議員が提言した国会改革のひとつとして押しボタン投票の導入が紹介されています。しかしこれは、参議院では20年前にすでに導入済みの“改革”です。
この押しボタン式投票のおかげで、参議院のウェブサイトに行けば、どの議案で、どの議員が、どのような投票を行ったのかをおおむね把握することができます。一方、押しボタン式投票がいまだ導入されていない衆議院では、ほとんどの議案で各議員の投票行動を把握することができません。それどころか、衆議院では各議員の本会議への出席状況すら知ることができません。これに対して参議院では、本会議に出席した議員の一覧が当然のように議事録に掲載されています。
やはり衆議院は「良識」を求められていないのでしょうか!?
国会の問題は参議院だけのせい?
浅田議員の記事では、1院制への移行も視野に入れつつ、いくつかの参議院改革の方向性を提示しています。主張の骨子を捉えれば、衆議院との差異を明確にしなければ参議院は無用の長物でしかない、といったあたりになるでしょう。
ただしモデレーターとしては、現在の国会に問題があることを認めたとしても、その問題の解消の手段として参議院の廃止や改革が適切だろうかと疑問に思います。国会の実効性や効率性は、参議院だけでなく衆議院、さらには政府と国会との関係によっても左右されるはずですから。少なくとも、議員の出席や賛否を記録している院とそうでない院とで比較すれば、前者のほうがまともと感じるのが自然でしょう。
みなさんは、国会の在り方、改革の方向性など、どのようにお感じでしょうか。浅田議員の記事には参議院改革以外にもいくつか論点が提示されています。これらへの反応も含め、幅広い、良識あるコメントをお待ちしております。
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