時の足音

サウジアラビアを潜る

伊藤智永・編集委員兼論説委員
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約5000人のデモが起きた広場=サウジアラビア東部カティフで2011年4月、筆者撮影
約5000人のデモが起きた広場=サウジアラビア東部カティフで2011年4月、筆者撮影

 サウジアラビア政府に批判的なジャーナリストが、トルコにあるサウジアラビア総領事館で惨殺された。身の毛もよだつ殺され方に誰もが慄然(りつぜん)としたが、サウジに投資・進出する日本企業の事件に対するあいまいな態度について、日本ではほとんど議論がない。

 たまたま同じ頃、シリア内戦を取材中、武装勢力に3年以上監禁されたフリージャーナリストの安田純平さんが帰国して「謝罪と感謝」を述べた。こちらについては、「自己責任」を問う意見がネット上にあふれている。この落差は何だろう。

 7年前、私はメディア取材が困難なサウジ国内で、政府が許可していない現場を取材して回ったことがある。…

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伊藤智永

編集委員兼論説委員

記者歴30余年。平成の日本政・官界を担当してきた。ジュネーブ特派員として2010年、アラブ民主革命やギリシャ経済危機の現場を歩く。毎日新聞にコラム「時の在りか」連載中。著書に「靖国と千鳥ケ淵」(講談社+α文庫)「忘却された支配」(岩波書店)他。