
サウジアラビア政府に批判的なジャーナリストが、トルコにあるサウジアラビア総領事館で惨殺された。身の毛もよだつ殺され方に誰もが慄然(りつぜん)としたが、サウジに投資・進出する日本企業の事件に対するあいまいな態度について、日本ではほとんど議論がない。
たまたま同じ頃、シリア内戦を取材中、武装勢力に3年以上監禁されたフリージャーナリストの安田純平さんが帰国して「謝罪と感謝」を述べた。こちらについては、「自己責任」を問う意見がネット上にあふれている。この落差は何だろう。
7年前、私はメディア取材が困難なサウジ国内で、政府が許可していない現場を取材して回ったことがある。民主化革命「アラブの春」に呼応し、サウジ国内でも反政府デモが起きているという情報を実地に確かめるためだ。暗殺と背中合わせの権力批判や戦場取材のレベルには程遠いが、自分のささやかな経験を思い出した。
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