不誠実な政府説明、改善策はあるか ご意見募集

西田亮介・東京工業大学准教授
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西田亮介さん
西田亮介さん

 毎日新聞社の最新の世論調査によると、内閣支持率は41%。不支持率を上回り改善傾向にあるとされている。

 今回紹介する2本の寄稿は、ともにその背後に広がる「政治(政府)の国民(国会)に対する誠実さ」の危機を指摘する。深刻な問題だ。

 舟山康江参院議員は具体例として、政府がいうところの「日米物品貿易協定(TAG)」の英文略称が共同声明の英文から見つけられないことを指摘する。さらに内容と米側発言を比較することで、事実上「完全なFTA(Free Trade Agreement、自由貿易協定)」であるのみならず、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)以上の妥協を迫られる懸念を主張する。

 国民から政策の内実がわかりにくくなることの弊害を説く氏は、「政府は『残念ながら日米FTA交渉に入らざるを得ない。そのなかで日本の国益のために努力する』と正直に言うべきだ」と提案する。

 歴代政権が対米交渉で譲歩し続けてきた歴史があることもあわせて考えてみたい。

 より大きな視点から問題を指摘するのが、逢坂誠二議員の寄稿だ。第1次安倍内閣とあわせて、佐藤、吉田に次ぐ戦後内閣で3位の在職日数を有する一方で、近年、公文書改ざん、隠蔽、データ捏造(ねつぞう)等が相次いでいることに象徴されるように、立法府が危機にさらされているというのが逢坂氏の問題意識である。

 逢坂氏は、今年7月末に自民党の重鎮でもある大島理森衆院議長が発表した談話を取り上げる(原文にも目を通してみてほしい)。

 しかしながら、逢坂議員は政府擁護に終始する与党のその後の振る舞いをみても、この談話の精神がその後の国会運営にも全く反映していないと指摘し、行政に対する国会のチェック機能の弛緩(しかん)に警鐘を鳴らす。

 ちなみに入管法改正案は11月27日、わずか17時間の審議で衆院を通過した。働き方改革関連法や安全保障関連法案などと比較しても相当に短い。そのためか、大島衆議院議長は関連政省令が整った際に、再度衆院法務委員会での質疑をするよう与党側に要請した。

 逢坂氏は前述の大島談話を生かすべく、国会の国政調査権行使の全会一致原則の緩和、委員会所属議員の4分の1程度の議員の賛同で資料提出を要求できるようにするよう提案する。

 民主主義の危機ともいえる事態に対して、ともに建設的に思える提案がなされた2本の寄稿をどのように考えるべきか。読者の皆さんのコメントをお待ちしています。

西田亮介

東京工業大学准教授

1983年生まれ。博士(政策・メディア)。専門は社会学、公共政策学。著書に「ネット選挙--解禁がもたらす日本社会の変容」「情報武装する政治」。ツイッター @Ryosuke_Nishida