
憲法9条をめぐる国会での論議はどうなっていくのだろうか。昨年5月の憲法記念日に安倍晋三首相が、憲法9条の1項と2項を維持したまま自衛隊の存在を明記する改正案を提起してから1年半。今国会の会期末を来月10日に控え、自民党が改正案を提示できるかは微妙な状況になっている。
自民党国会議員は安倍首相の「2項維持」派が圧倒的多数だというし、私が直接聞いた自衛隊の現役・OBたちも同調する声が大半である。彼らは「とにかく安倍内閣のうちに変えるべきだ。2項は確かに問題だが、それは一度変えたあとに、改正すればいい」という。本当だろうか。本当に、数次にわたる「段階的改憲」の政治的エネルギーが存続するのだろうか。
私は、戦後日本における9条の意義を認めつつ、いまの国際情勢の大きな変化に合わせて憲法は手を加えるべきだと考えている。その前提として、徹底的な議論をすべしといいたい。議論の目的は相手をやり込めることではない。とくに国のありようを考える議論においては、時間をかけて熟議し、その過程でコンセンサスを得るべきだと思っている。
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