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「9割支持」の悩ましさ

滝野隆浩・社会部専門編集委員
【左】陸上自衛隊の小川清史・前西部方面総監【中央】海上自衛隊の佐藤誠・前佐世保地方総監【右】航空自衛隊の尾上定正・前補給本部長
【左】陸上自衛隊の小川清史・前西部方面総監【中央】海上自衛隊の佐藤誠・前佐世保地方総監【右】航空自衛隊の尾上定正・前補給本部長

 憲法9条をめぐる国会での論議はどうなっていくのだろうか。昨年5月の憲法記念日に安倍晋三首相が、憲法9条の1項と2項を維持したまま自衛隊の存在を明記する改正案を提起してから1年半。今国会の会期末を来月10日に控え、自民党が改正案を提示できるかは微妙な状況になっている。

 自民党国会議員は安倍首相の「2項維持」派が圧倒的多数だというし、私が直接聞いた自衛隊の現役・OBたちも同調する声が大半である。彼らは「とにかく安倍内閣のうちに変えるべきだ。2項は確かに問題だが、それは一度変えたあとに、改正すればいい」という。本当だろうか。本当に、数次にわたる「段階的改憲」の政治的エネルギーが存続するのだろうか。

 私は、戦後日本における9条の意義を認めつつ、いまの国際情勢の大きな変化に合わせて憲法は手を加えるべきだと考えている。その前提として、徹底的な議論をすべしといいたい。議論の目的は相手をやり込めることではない。とくに国のありようを考える議論においては、時間をかけて熟議し、その過程でコンセンサスを得るべきだと思っている。

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社会部専門編集委員

1983年入社。甲府支局、社会部、サンデー毎日編集部、夕刊編集部副部長、前橋支局長などを経て、社会部専門編集委員。現在、コラム「掃苔記」を連載中。人生最終盤の緩和医療・ケア、ホスピスから死後の葬儀、墓問題までを「死周期」として取材している。さらに家族問題のほか、防衛大学校卒の記者として自衛隊をテーマにした著書も多数。著書に「宮崎勤精神鑑定書」「自衛隊指揮官」「沈黙の自衛隊」「自衛隊のリアル」「これからの葬儀の話をしよう」などがある。