日米貿易交渉 譲歩は必至 政府の主張はウソばかり

篠原孝・元副農相
篠原孝氏=須藤孝撮影
篠原孝氏=須藤孝撮影

 日本政府は米国との貿易交渉について事実上は自由貿易協定(FTA)なのに、日米物品貿易協定(TAG)だと強弁している。TAGなどという言葉は日本の文書にしか出てこない。論評する気にもなれない。

 ただこういうごまかしは今に始まったことではない。

 1989年から90年にかけて行われた日米構造協議(SII)を農林水産省の対外政策調整室長として担当した。SIIは「Structural Impediments Initiative」で「構造障壁協議」とでも訳すべきところだ。

 米国に圧力をかけられていると言われたくないから、「障壁」を避けた。しかし実態は米国に押しまくられただけだった。協議の場で米国が一方的に主張し、日本側がほとんど反論できなかったことが強く印象に残っている。

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元副農相

1948年生まれ。農林水産省、経済開発協力機構(OECD)代表部などを経て、2003年衆院初当選。衆院長野1区、当選6回。国民民主党。