日本政府は米国との貿易交渉について事実上は自由貿易協定(FTA)なのに、日米物品貿易協定(TAG)だと強弁している。TAGなどという言葉は日本の文書にしか出てこない。論評する気にもなれない。
ただこういうごまかしは今に始まったことではない。
1989年から90年にかけて行われた日米構造協議(SII)を農林水産省の対外政策調整室長として担当した。SIIは「Structural Impediments Initiative」で「構造障壁協議」とでも訳すべきところだ。
米国に圧力をかけられていると言われたくないから、「障壁」を避けた。しかし実態は米国に押しまくられただけだった。協議の場で米国が一方的に主張し、日本側がほとんど反論できなかったことが強く印象に残っている。
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