
2018年12月8日、改正入管法が成立した。これをもって、我々の社会は原則として単純労働者の受け入れを認めないという従来の方針から、19年の4月、つまり来春から大きな方向転換を行うことになる。
審議時間は衆院で約17時間、参院で約21時間、計38時間と重大政策の割には短時間にとどまった。
これまで重大政策には十分な審議時間を割くのが慣例だった。最近では集団的自衛権の解釈変更を行った安全保障関連法案の審議時間はおよそ216時間。さらに根拠データの不備も明らかになった。
細部は政省令で定めるとしても、慣例破りだったといえる。ご意見を募集した「不誠実な政府説明、改善策はあるか」でも取り上げたように、大島理森衆議院議長はそれらが整備された暁に衆院法務委員会での質疑を要請したし、12月10日には野党各党の国対委員長が国会の正常化と立法府の信頼回復を大島議長に申し入れている。
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西田亮介
東京工業大学准教授
1983年生まれ。博士(政策・メディア)。専門は社会学、公共政策学。著書に『メディアと自民党』(角川新書)、『なぜ政治はわかりにくいのか:社会と民主主義をとらえなおす』(春秋社)、『情報武装する政治』(KADOKAWA)、『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)など多数。近著に「コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か」(朝日新聞出版)。ツイッター @Ryosuke_Nishida
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