外国人労働者受け入れ 子どもの教育どうする? ご意見募集

水無田気流・社会学者・詩人
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水無田気流さん
水無田気流さん

 長妻昭氏の「外国人労働者5年後に実は倍増 技能実習生は3年で69人死亡」が掲載された直後の12月8日、単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する「改正出入国管理・難民認定法(改正入管法)」が成立しました。これにより、新たに在留資格「特定技能1号」と「特定技能2号」が創設されることとなりました。「特定技能1号」は特定の分野で、「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に付与されます。在留期間は最長5年で、家族の同伴は認められません。一方、「特定技能2号」は、「1号」を上回る「熟練した技能」を持つ外国人に与えられ、在留期間に上限はなく、家族の同伴も認められます。

 安倍晋三首相は、かねて移民政策は取らないと公言していましたが、すでに「働き方改革実現会議」等では、外国人労働者受け入れは、検討対象となっていました。「外国人労働者」や「移民」の定義は各国によりばらつきがあり、実態も多様ですが、おおむね国際標準では外国(出生国や市民権のある国以外の国)に12か月以上定住する人を、長期ないしは恒久移住者とみなします。

 さて政府が今回、あくまでも「移民」ではなく「外国人労働者」としていることが象徴するように、現状での外国人労働者受け入れ政策が、「異文化を背景にもつ人たち」を受け入れる覚悟と準備が不足している点は否めません。また、長妻氏が指摘するように、技能実習生の待遇の劣悪さから、失踪者や死亡者まで出ているという事実は、極めて深刻といえます。

 背景には、これまで外国人受け入れに関し厳しい統制政策を敷いてきたこの国で、外国人労働者を「表玄関」からではなく、実習生などの名目で「裏口」から受け入れてきたという経緯があります。このたび政府は、本格的に「表玄関」からの外国人受け入れにかじを切ろうとしていますが、その内実は問題が山積しているといわざるを得ません。

 もちろん、大前提として「人口減少の最中、外国人受け入れは必定」との切迫した立場もあるでしょう。ただ本件に関しては、外国人労働者の雇用環境を整えることはもとより、「生活者」として地域のコミュニティーに定住する以上、異文化間コミュニケーションや多文化共生に向けた取り組みは必須といえます。さらに労働者の家族、とりわけ親の都合で来日する子ども世代も含めた目配りも必要です。現状でも、すでに文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(2016年度)」によれば、日本の公立小中学校等に在籍中の「日本語指導が必要な児童生徒」は、外国籍・日本国籍あわせて約4万4000人います。「短期間で帰国するはず」との見込みで、子どもたちに十分な教育機会を与えなければ、欧州ですでに起こっている問題が、日本でも再現される懸念があります。政府が現状で、「必要なときだけ、必要な数の労働者が入る」ことしか想定していないのであれば、準備不足の感が否めません。この国の将来像に大きな影響を与えるこのテーマにつきまして、読者のみなさまのご意見をいただけましたら幸いです。

水無田気流

社会学者・詩人

1970年生まれ。国学院大教授。専門は文化社会学、ジェンダー論。著書に「『居場所』のない男、『時間』がない女」など。詩人として、詩集「音速平和」で、中原中也賞を受賞。ブログ http://d.hatena.ne.jp/minashita/ 、ツイッター @nonaioyaji
。本名の田中理恵子名義でも執筆。