「異端児為公」山本幸三

世界に後れを取る日本の統計政策

山本幸三・元地方創生担当相
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山本幸三氏=宮本明登撮影
山本幸三氏=宮本明登撮影

 2018年10月31日に神奈川県鎌倉市の名刹(めいさつ)、建長寺で風変わりな国際会議が開かれた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)と国連が協同して開催した「文化の経済的価値を測る世界標準策定」のためのCSA(Cultural Satellite Account)技術諮問委員会(以下CSA会議と称する)である。ユネスコ統計局を中心に米、カナダ、フィンランド、メキシコ、スペイン、欧州連合(EU)国際統計局、アフリカ統計局等14人の海外の参加者による専門家会合であるが、これに日本側から私と文化庁、観光庁、外務省、経済産業省、内閣府の役人がオブザーバーとして加わった。会議は翌日から東京都内の衆議院国際会議室に場所を移し、計3日間行われ、大きな成果を上げた。

 経済価値を測る基本となるのが国内総生産(GDP)であるが、これは1930年代に米国で開発された産業連関表をベースに第二次大戦後、国連や世界銀行、国際通貨基金(IMF)等が世界標準として推奨、発展した国民勘定(System of National Accounts:SNA)を使って各国が計算しているものである。SNAは、当時の主要産業である農業、鉱業、製造業というような産業構造の枠組みとして世界標準となっており、この枠組みそのものを変えることは控えられてきた。

 ただ大戦後70年以上を経過して、昔は存在しなかったか、あるいは規模が小さかったためにその他扱いだったような産業活動が発展を遂げるにつれ、各国の政府統計局は、調査対象となる産業活動は既存のSNAベースの経済活動の中で一体どの産業活動内に隠れているのかをSNAを周回して眺めながら測定していくという作業が必要となった。

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山本幸三

元地方創生担当相

山本幸三(やまもと・こうぞう)元地方創生担当相  1948年生まれ。71年大蔵省入省。93年衆院初当選。副経済産業相、衆院法務委員長などを歴任した。衆院福岡10区、当選8回。大蔵省時代には宮沢喜一蔵相の秘書官を務めた。「アベノミクスの指南役」を自任する。