オアシスのとんぼ

日本で「ひきこもり」だった若者たち、ソウルでたこ焼きを売る?

澤田克己・論説委員
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開店前に仕込み作業をする織原蛍さん(右)
開店前に仕込み作業をする織原蛍さん(右)

 「ひきこもりの人たちをソウルに連れて行って、たこ焼き屋台をやっている団体があるんです」

 日韓の文化交流支援に携わってきた知人に教えてもらい、思わず「ひきこもりの人が外国で屋台?」と聞き返してしまいました。韓国では数年前から日本の食文化が大ブームになっていて、たこ焼きの屋台は珍しくありません。日本人経営の飲食店も多くなっているのですが、「ひきこもり」と「外国でたこ焼き屋台」の結びつきは意外でした。ひきこもりの人に対する支援活動をしている日本の団体が数年前に始めたといいます。気になったので、ソウルの活動拠点を訪ねてみました。

 昨年10月末に連絡を取ると、形態が少し変わっていました。韓国での活動を2012年に始めた時は繁華街でたこ焼き屋台を出していたそうですが、現在はソウル市北東部の住宅街にある昔ながらの商店街(韓国では「在来市場」と呼びます)に小さな飲食店を構えています。店の名前は「ドン(丼)カフェ」。メニューは、カツ丼や豚キムチ丼などの丼物中心ですが、店頭でたこ焼きも作っています。

 働いているのは、支援スタッフを含めて10人ほど。近所に借りた住宅で共同生活をしながら、交代で店に出ます。ただ、どんな人たちという表現は難しい。店で働くようになったら「ひきこもり」というわけでもないだろうし、そもそも支援スタッフである店長の小堀求さん(35)も、高校生の時に不登校だったと言います。なんだか不思議な感じです。

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澤田克己

論説委員

1967年生まれ。埼玉県狭山市出身。91年入社。ソウル支局やジュネーブ支局で勤務した後、論説委員を経て2018年から外信部長。2020年4月から再び論説委員。著書に『「脱日」する韓国』、『韓国「反日」の真相』、『反日韓国という幻想』、『新版 北朝鮮入門』(共著)など。