古屋圭司さんの寄稿に一言

ネットの海賊版対策、適正な規制は? 「ネット世論」影響力どう考える ご意見募集

西田亮介・東京工業大学准教授
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西田亮介さん
西田亮介さん

 インターネット空間において、著作権者の利益と、憲法が保障する通信の秘密、創作者のクリエーティビティー、そして創作を促進する「生成力(generativity)」のバランスをいかに取るかという主題は長く論じられてきた問いである。

 古屋圭司議員が「ダウンロード違法化拡大に歯止め マンガファンが納得できる案を作る」で主張するように、漫画やゲーム、雑誌など著作物の海賊版対策は重要だが、ともすれば対策が過剰なものになりがちで、そのことが問題視されている。

 最近も海賊版対策として、特定の海賊版サイト等への接続遮断(いわゆる「ブロッキング」)の法制化が提案された。しかし、ブロッキングの実施に際して、結局、プロバイダーを経由するすべての情報を確認しない限り、特定サイトへと接続しようとしているのか否かが確認できず、通信の秘密が侵害されるのではないかということで法学者らから強い懸念が提起され、立法が事実上見送られた。

 ダウンロード違法化範囲の拡大、厳格化を含む著作権法改正案の今国会提出が見送られた事例も類似の案件と考えられる。ネットで広く見られるスクリーンショットも違法になるということで、ネットでも話題になったことは記憶に新しい。

 古屋議員は寄稿の中で「インターネット上の海賊版対策として、ダウンロード違法化を拡大する著作権法改正案の今国会提出が見送られた。問題点があればメンツにこだわらず、勇気を持って立ち止まる。自民党の良さ、懐の深さが示せた」という。

 確かに今回の一連の政策過程は異例ずくめだった。文化庁が規制強化を主導し、いったんは自民党の文部科学部会と知財戦略調査会の合同会議で了承されたが、自民党の最高意思決定機関である総務会で差し戻しとなり、そのまま立法化は見送られた。

 主導したのは古屋議員や、知財戦略調査会の会長で自民党選対委員長も務める甘利明議員らだとされる。一部報道では、統一地方選挙や参院選といった大型選挙が続くだけに、相次いだ学会や業界団体からの声、そしてネット世論に配慮したともいわれている。伝統的な自民党の政策形成プロセスにネット世論が影響を与えたのかもしれない。

 古屋議員は「文化庁は規制のほうにばかり目が行き、両者のバランスへの配慮が欠けていたと言わざるを得ない」としながら、「海賊版対策は急務であり、課題は多く残っている。政治主導で真摯(しんし)に議論して、みんなが納得できるものを作り上げたい」とも述べる。それは具体的にはどのような規制の姿なのだろうか。

 さらに前述のような政策形成過程に「ネット世論」が影響するのだとしたら、どのような問題が生じうるだろうか。広く皆さんのコメントを期待します。

西田亮介

東京工業大学准教授

1983年生まれ。博士(政策・メディア)。専門は社会学、公共政策学。著書に「ネット選挙--解禁がもたらす日本社会の変容」「情報武装する政治」。ツイッター @Ryosuke_Nishida