
令和は日本で初めて和書(万葉集)を出典とした元号になった。安倍晋三首相は和書から引いた理由について記者会見で「我が国の豊かな国民文化を象徴する」と説明した。
万葉集が国民文化を象徴するのはその通りだ。しかし、大化以来、漢籍を典拠としてきたのも日本の伝統ではなかっただろうか。
「からごころ」からの決別
明治維新は「からごころ」(中国の考え方)から「やまとごころ」(日本の考え方)を峻別(しゅんべつ)しようとした国学の思想が背景にある。近代国家を形成するうえで、近隣の文化大国だった中国との関係を整理しなければならなかったという事情があった。
長州(山口県)出身の首相としては、元号がいまなお中国文化の影響下にあることは維新の元勲がやり残したことに見えたのだろう。
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