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地位協定めぐる議論 「防衛義務」とのバランス直視を 逢坂誠二さん寄稿に

宮家邦彦・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
宮家邦彦さん
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 「日本は本当に米国の制限下にあるのか」に対する皆さんのコメントをありがたく拝読した。公務員を辞めて今年で15年目に入るが、日米地位協定に関する議論を久しぶりにじっくり読ませてもらった。議論は日米地位協定の枠を超え、日米同盟関係全般に関するさまざまなコメントが集まった。感情的反米主義としか思えない一部コメントを除き、私なりに分類させてもらえば、議論は次の4種類に大別できると思う。

 第一は、同盟関係に関する基本的事実関係の誤解や事実誤認により議論が十分昇華し切れていないもの。例えば、「アメリカが在日米軍基地からの他国への軍事行動をとる場合、『日本の許可』を必要としていないので、日本には『戦争』をしない主権が存在しない」といった事前協議制度を無視した議論や、「米軍が要求すれば……日本国内どこにでも基地を展開できる密約」があるとする事実誤認などがその典型だろう。

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キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1953年生まれ。外務省日米安全保障条約課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを経て2005年に退職。立命館大客員教授、外交政策研究所代表なども務める。近著に「AI時代の新・地政学」。フェイスブック「Tokyo Trilogy」で発信も。