記者コラム 自衛隊のリアル フォロー

安倍改憲案は果たしてリアルなのか

滝野隆浩・社会部専門編集委員
冨澤暉・元陸上幕僚長=太田康男撮影
冨澤暉・元陸上幕僚長=太田康男撮影

 平成期に自衛隊は大きく変容した。大規模な災害対処は当然として、国際緊急援助活動、PKOなど海外派遣の即応態勢を整え、テロや海賊、原発事故といった新しい事態対処にも任務を広げてきた。30年で大きく変わった組織の内実はどうなのか。私は毎日新聞の「平成という時代第4部 伝える」という連載(3月28日朝刊)で、冨澤暉・元陸上幕僚長のトップとしての思いに踏み込んで記事を書いた。ただ、退官後も日本における軍事の有り様について論考を重ねている冨澤さんについては、書き足らないテーマがある。憲法改正問題である。憲法記念日に合わせて、いま一度、冨澤さんの言葉を考えてみたい。

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社会部専門編集委員

1983年入社。甲府支局、社会部、サンデー毎日編集部、夕刊編集部副部長、前橋支局長などを経て、社会部専門編集委員。現在、コラム「掃苔記」を連載中。人生最終盤の緩和医療・ケア、ホスピスから死後の葬儀、墓問題までを「死周期」として取材している。さらに家族問題のほか、防衛大学校卒の記者として自衛隊をテーマにした著書も多数。著書に「宮崎勤精神鑑定書」「自衛隊指揮官」「沈黙の自衛隊」「自衛隊のリアル」「これからの葬儀の話をしよう」などがある。