
昨年末から一時休戦下の交渉が続いてきた米中貿易紛争は5月に米国が追加関税の発動を決め、本格的な「貿易戦争」へと突入した。米国は次世代高速通信である5G技術で世界をリードする華為技術(ファーウェイ)に対する制裁にも踏みきり、中国も永久磁石などの生産に欠かせないレアアースの輸出規制など対抗措置の検討を始めた。中国メディアも対米強硬論を打ち出し、6月に大阪で開く主要20カ国・地域(G20)首脳会議の場での米中首脳会談での合意も困難との見方が強まっている。1979年の米中国交正常化以来続いてきた米中の協調態勢見直しにつながる可能性もある。
妥結に向けて順調に進んでいるかに見えた米中貿易交渉は令和を迎えた日本の「10連休」の間に一気に反転した。トランプ米大統領が5月5日に2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に対する追加関税率を従来の10%から25%に引き上げるとツイートしたのだ。トランプ氏は「中国が約束を後退させた」と批判した。
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