
トランプ米大統領が令和初の国賓として来日しました。首脳会談は通商交渉の環境作りが理由の一つだと思いますが、我々は、どこまでいっても環太平洋パートナーシップ協定(TPP)レベル以上の市場アクセスは認めませんので、合意点を見いだすのは時間がかかるものと思います。
トランプ氏の主張の大筋は、米国内の経済格差の不満を背景とした単純なもので、米国は貿易不均衡で損をしてきたというものです。その結果、米国はTPPなど大統領が不利だと考える国際システムから脱退し、自国主義的傾向を強めています。
しかし、そもそもサプライチェーン(部品供給網)がグローバル化した今日、一国の関税操作だけでは貿易不均衡は是正されません。本質的には経常収支で見るべきですし、そうでなくても是正をするには消費を減らすか財政を締めるかの選択が必要になりますが、これらは本末転倒であるばかりか政治的にも困難なので、結果的に、国内の不満のはけ口を国際政治に求めているだけだということになります。一言で言えば自国主義が自国のた…
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