投票に行く前に 議員にメッセしてみたら

伊藤和真・PoliPoli(ポリポリ)最高経営責任者
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伊藤和真さん=岡本同世撮影
伊藤和真さん=岡本同世撮影

 現役の大学生をしながら、政治家と有権者が双方向で議論できるアプリ「PoliPoli」(https://www.polipoli.work/)を運営している。一言で説明すれば「政治家と街づくりできるサービス」だ。

 なにか気がついたことがあった時に、有権者が気軽に問題を政治家とシェアする。市民が提案し、その提案が共感を集めれば政治家につながる。政治家がアイデアを募集することもできる。政治家と有権者が街づくりに向けて一緒に「共創」するサービスだ。

政治が遠い

 もちろん、普通の人にとって政治の力が切実に必要になることがそれほど頻繁にあるわけではない。政治も行政もおおむねきちんと仕事をしている。しかし、政治がいつも正しいわけではない。違和感があった時に、それを解決するためにどこかにアクセスする方法が今は十分にないと感じている。

 自分の住んでいる街になんとなく元気がない。どうにかしたいが、政治家に言ってもどうにもならないと考える。言う手段もない。そのままになってしまう。

 一方で政治家は意外に、有権者が何を考えているかわからないという悩みを抱えている。霧のなかで発信している。以前は町内会など地域のコミュニティーを通じて聞いていたのだと思うが、そういう仕組みがなくなりはじめている。特に若い世代との接点がない。

 だから政治家と有権者の距離を近づけるために「PoliPoli」を作った。

 自分にとって政治は、いろいろな対立を調整して、社会の意思決定をより良くするものだ。しかし、政治は遠いものだと思われている。自分の生活に関係していないと思われている。

 実際には社会の仕組みは政治が作っている。私たちは忙しい。だから選挙で誰かを選んで意思決定をしてもらう。政治は普段は目に見えなくても大切な役割を果たしているインフラのようなものだ。

義務感だけでは投票に行かないのでは?

 しかし、若い世代だけではなく多くの人が今、政治に意味を見いだしていない。そういう人たちを動かすのはとても難しい。「大切だから投票に行きましょう」と言うだけでは伝わらない。

 今は投票は義務になってしまっている。義務ならば自分の時間を使って投票には行かない。

 政治が案外大事なものだと思ってもらうにはどうしたらいいか。

 1分でできることがある。自分の選挙区の議員に「いま20歳で有権者だけど、どうなんすか」とフェイスブックでもメールでもツイッターでも軽い気持ちでメッセージを送ってみる。たいしたことでなくてもいい。

 自分もやってみた。もちろん返ってこない場合も多いけれども、思っていたよりははるかにたくさん返事がくる。

 やってみると政治は思ったより遠くない。こんなことはすぐにできるし、面白い。

 政治家とただしゃべった、というだけでもいい。ちょっとした政治への成功体験があると変わる。そうすると「話し合って物事を決める」という政治のやり方が少し見えてくる。

政治家には希望を作ってほしい

 政治家にお願いしたいことがある。未来に投資をしてほしい。票を取ろうと思ったら、今いる人の利益を代表するのが良いのかもしれない。まだ存在していない未来の有権者に投資するのは大変かもしれない。

 でも、自分の世代は未来に希望を感じることが難しい。自分の成長と経済成長が反比例しているように思える。今後いつか経済が非常に良くなることがあるなどとは想像できない。

 だから、ネガティブなことではなく、未来に明るいことがあるという発信を少しでもしてほしい。

 政治家を直接知るようになって、とても熱心に仕事をしていることに本当に驚いた。だから言うが、リーダーは希望はなくても作るものだと思う。経済は完全に上向かないかもしれないが、希望をみせてくれるようなリーダーが必要だ。

伊藤和真

PoliPoli(ポリポリ)最高経営責任者

1998年生まれ、慶応大学在学中。俳句のiPhoneアプリを毎日新聞社に事業売却するなどアプリ開発を行う傍ら、F Venturesにてベンチャー投資業務を行う。現在は、株式会社PoliPoli代表として、政治のコミュニティアプリ「PoliPoli」を開発中。週刊東洋経済が選ぶ「すごいベンチャー100」に選出された。